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ROASという指標

デジタル全盛の昨今。
TVなどのマスメディア広告費が
デジタルの広告費に抜かれたことが
話題になったのが記憶に新しい。

マーケティングの世界でも、
オーソドックスな考え方より、
デジタルマーケティングの考え方の
方がもてはやされるようになって
いる気がする。

猫も杓子もDXだ、MAだ、CVRだと
いったアルファベットの略語や、
サブスクリプションやら、カスタマー
サクセス
やらのカタカナ語を使って
会話することが増えている。

こういう時に大切なことは、
分かったふりをしないこと。
もし分からない単語が出てきたら、
「聞くは一時の恥」と心得て、
質問してしまう。
分かっている人なら、懇切丁寧に
教えてくれるだろうし、
逆にしどろもどろになるようならば
「化けの皮が剝がれた」ということ
である。

タイトルに書いたROAS(ロアスと読む)
というのは、
Return On Advertising Spend
の略語である。
直訳すれば、「広告費用に対する成果」
広告費をかけた割合に対して、どの程度
売上が取れたかを測る指標だ。

デジタル広告は、これまで「4マス」と
言われてきたTV、ラジオ、新聞、雑誌と
いったクラシックなマス向け広告媒体に
比べて、掛けた費用と得られた成果との
因果関係が格段に把握しやすい

というメリットがある。

例えば、検索広告でもバナー広告でも
いいのだが、その広告経由で自社サイトに
流入してくれたお客様が、最終的に購買に
至ったか否かというのが、割と簡単に
計測できてしまう。

仮に、100万円の広告費用をかけた
バナー広告経由で上がった売上が、
200万円だったとする。
その場合のROASは、
200万円÷100万円×100%=200%
という計算だ。

昔、この手の経営指標を本で学んだ際、
メジャーだったのはROIとかIRR
あるいはROAとかROEなどなど、
色々な略語が入り乱れて、正直言って
迷子になった。
財務に強い人にお任せ!とばかり、
もらったテンプレートで計算だけして、
何となく分かった気になっていた時期も
あった。

それでも、何度も経験を積むうちに、
慣れも手伝って段々意味が腹落ちしてくる。
概念は概念で学びつつ、その概念を
現場で実際に使うことを繰り返して、
やっと全体像が立体的に理解できる、
そんな感慨を持っている。

ROASについては、自分自身が自らの手で
デジタル広告の運用をしているわけでは
ないため、最初はピンと来ていなかった。
しかし、使い勝手の良さから広く使われる
ようになってきて、自分でも意味を調べ、
事例を目の当たりにするうちに少しずつ
理解が深まってきた。

ROASも、あくまでも指標の一つであり、
決して万能ではない。
広告費用あたりの売上がどれだけ取れたか
という指標なので、実際に儲かったか否か
に関しては、原価率次第で大きく変わる
ということもあり、むしろROIを見た方が
良いと言えなくもない。

ROASがこれだけ重用されるのは、
サブスクなどのLTV(顧客生涯価値)重視の
ビジネスにおいては、長い目で見て利益を
もたらしてくれる顧客をまず獲得することが、
短期的に利益を確保することよりも大切
だ、
という背景によるものなのではないかと
推測している。

いずれにせよ、経営、マーケティングに
携わる上で、収益管理というのは極めて
基本的な事柄であり、分からないままに
しておくのは宜しくない。
ちょっと調べれば、今ではブログのような
文字情報だけでなく、YouTubeにご丁寧に
動画解説をあげてくれている人もいる。

ROASのようなKPIも、流行り廃りがある。
時代の要請で浮き沈みもある。
できるだけ、その意味するところ、本質
だけはしっかり押さえておくようにしたい

ものである。



己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。