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リスクをとってB2Bの家業を刷新する

「マークスアンドウェブ」という
ブランドはご存知だろうか?

駅ビルやショッピングモールで
よく見かける、シンプルながらも
オシャレな日用品のブランドだ。
無印良品よりももっとモダン、
ヨーロッパかアメリカの商品かと
思わせておきながら日本発。

私がライフスタイルコスメの
ブランドに奉職していたので、
このブランドが伸び盛りだった
のを横目に見ており、なかなか
上手なやり方をするなぁと感心
していた。

一応別会社にはなっているが、
このブランドは松山油脂という
日本の油脂メーカーが立ち上げた
ものだ。
社長は松山剛己(つよし)さん。
先代から家業を引き継いで、この
ブランドを新たに立ち上げただけ
でなく、強いリーダシップを発揮
して、非常に大きな改革を次から
次へと成し遂げ続けている凄腕の
経営者である。

「このブランドは、実は松山油脂と
いう石鹸メーカーが作ってるんだよ」
という話をすると、ほとんどの人が
驚く。
業界外の人には、まだまだ認知が行き
渡っていないようだ。

たまたま渋谷の小売店舗をグルグルと
定点観測で回っていたときに、この
松山油脂の商品ラインナップが大きく
棚を占拠していて、目を奪われた。
「M-mark series」とある、松山の頭
文字であるMの印を付けたものだ。

このM-markブランド自体は、松山
社長が博報堂~三菱商事を経て家業
入りした直後の1995年に立ち上げた
自社ブランド。
下請けからの脱却を目指して始めた
のだという。

これまで、ドラッグストアの店頭で
目立っているのをあまり見たことが
なかったのだが、サンドラッグの
渋谷にオープンした駅前一等地の
店舗でかなり広く展開していた。

あくまでもB2Bで、地味だった家業。
生き残りをかけて改革をした結果、
入社した1994年当初の4億円の売上
は、今やグループで20倍以上にも
なっているという。

M-markも、マークスアンドウェブ
も、非常にシンプルでモダンな
パッケージ。
他にもいくつもブランドを立ち上げ
ているが、どれもこれもパッケージ
のデザインが優れモノ。
「松山油脂」という、いかにも
昭和な香りのする社名からは想像
し難い(失敬!)センスである。

パッケージは勿論大きな成功要因の
一つではあるが、最も大きな成功
要因は何だろうか。
松山社長のインタビューを読み、
店頭での様子を過去10年以上に
渡って見てきた経験があるものの、
「これだ!」という答えは正直な
ところ分からない。

ただ、インタビューの中で
「おおっ!」
と思ったのは、小売店の販売員の
方に工場見学へ来てくれるように
勧め、実際に来てくれた方に
「どういう商品だと売れますか?」
「どんなパッケージがいいですか?」
という具合にどんどんヒアリングを
していったというエピソード。

社長自ら、顧客の声に耳を傾け、
聴いたことを一つひとつ試しては
ブラッシュアップしていくという
マーケターの基本姿勢をブレずに
保っていることが分かる。

そんな松山社長率いる松山油脂、
ポストコロナを生き抜くという
テーマで、あの
『日本で一番大切にしたい会社』
を書かれた坂本光司さんがつい
最近出された新著にも取り上げら
れている。

社内での密なコミュニケーション
に関しての話で、マーケティング
だけでなく経営全般において良い
打ち手を繰り出し続けていること
が分かる。

このような厳しい環境にあっても
着実に成果をあげ続ける松山油脂
の動向に、今後も目が離せない。


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己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。