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前橋ポエトリーフェスティバル2024

ポエトリーリーディングin前橋文学館 朗読詩 
『うみかぜ』

もう二度とここに戻らぬ海鳥へ あなたは私になれると思う

藍色をかきわけて
ひんやりとした彼女の皮膚に触れたとき、
ここで おわりだ と思った

呼吸音、それだけが私たちにしがみついているもので
どうしようもなく、ここにいることだけを
掴んだロープをたぐって
教えられている

波止場で見た征服の少女は
そのまま海に飛び込んで
飛び込んで
飛び込んで
飛び込んで

どうしようもなくただ並んだ靴
ただ吊り下げられて
選ぶことだけを迫られている
私が見えなかった 見ることのできないもの
君が生きてきたうしろにあるもの

一生のほとんど 地に足をつけず
彼女たちは渚と水色の間で漂っている

必死で吸っている
酸素はどこにでもあるように思えるから
何も知らなかったことを君は教えてくれるね

藍色をかきわけて
ひんやりとした彼女の皮膚に触れたとき、
ここで おわりだ と思う

いつしか彼女と公園で見た鳩の群れは
灰色のままずっとそこにただずんで
街と街をつないでいる気がした

ブランコの往復だけがずれていく私とあなたを風は分けてく

主催である新井さんからご提供頂いたお写真
(撮影してくださった方がわからなくて申し訳ないです)

ポエトリーリーディングin comm. 短歌

計算が分からないと嘆いては空豆の木がずっと伸びてく

さみしさを知ったときには立ち消えて時差式信号青で走った

ずんずんと君の頭が揺らされるステージと地鳴る夏の訪れ

北村灰色さん(https://note.com/obviously_1222/ )撮影

おぼえがき

社会人となって群馬県を離れて1ヶ月半くらいが経過して、
大学時代にお世話になった前橋の地にまた戻ってこられたことを
うれしく思います。

昨年の6月に開催されたポエトリーフェスティバル2023は、
就職活動で地元に帰省をした後に向かうことを計画していた中で、
地元が豪雨災害に見舞われ、向かうことができないままになっていました。今年こそ、という気持ちで意気込んで向かったのですが、
なんと今年も新幹線の架線に飛来物がやってきて、
時間には間に合うことができませんでした。
悔しいので来年も参加したい。

そんな中でも新井さんと共に終盤の司会をさせていただいたり、
遅れてきたにもかかわらず着いた瞬間に綺麗なお着物を着た風便りさんに
明るく声掛けをしていただいたり、
チャイナ服の俳里さんがとってもかわいかったり、
智乃さんの朗読がやっぱり好きだなって思ったり、
後輩の佐々木くんがとっても元気でその元気さがステージを呑み込んだことに成長を感じたり、
北村ニキには突然の振りでびっくりしつつアキモトニキにいいパスを投げられたり、
とってもいい時間でした 笑

新井さんからご提供頂いたお写真
司会をこの機会にさせていただけて本当にありがとうございました。
(これも撮影してくださった方がわからなくて申し訳ないです)

ボブ・ホールマンさんと村田活彦さんのお二人の朗読。セッションはポエトリーリーディングの圧倒的な空気感を見せていただけた気がします。
宮尾さんや笠原さん、西原さんなどそれぞれの朗読に強く思いが揺らされるものがありました。
ここには書き尽くせませんがほんとうに多くの方のそれぞれの詩が
ひとつひとつ心に強く残り、私に刻み込まれる感覚がしました。

そのあとのcomm.でも、みなさんとの交流もありながら、巻き枠として(笑)短歌を少し読ませていただきました。
先輩のしろきたさんと後輩のひらきたくんがコントみたいなことしていて
たのしそうだったので私もまた入れて欲しい(できる気はしないけれど)

来年もまた前橋の街でみなさんと会えますように。
また、社会人になったとはいえ今年も前橋の街にふらふらとイベントなどでたくさん訪れられたらいいな。
社会に出てもずっと短歌を続けたい気持ちが強くなりました。よかった。

中心となって活動を主導していただいた新井隆人さんはじめ
芽部のみなさま、そしてポエトリーフェスティバル2024を盛り上げた
多くのみなさんにお礼を伝えさせてください。
とても素敵な時間をありがとうございました。

前橋のまちなかに飾られた短歌
もゆらさんのツイートより(https://x.com/a_aoim_maru/status/1793947458361573715 )
実際にまちなかに展示された短歌と写真
新井隆人さんのツイートより(https://x.com/RyutoArai/status/1795174682712297713 )
お写真ありがとうございました。

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