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2019年8月16日のMIA : 電子薬瓶や双方向テキストの送受信といったアドヒアランスのモニタリングは血圧コントロールを改善しない

MyNCBIの中から個人的に最も興味を持った論文(Most Interesting Article)を紹介する先週のMIAです。

文献

Mehta SJ, Volpp KG, Troxel AB et al.
Electronic Pill Bottles or Bidirectional Text Messaging to Improve Hypertension Medication Adherence (Way 2 Text): a Randomized Clinical Trial.
J Gen Intern Med 2019

Question

電子薬瓶や双方向テキストの送受信といったアドヒアランスのモニタリングは血圧コントロールを改善するか?

Methods

Design
3群の実用的無作為化比較試験(pRCT)
Allocation
不明
Blinding
不明(おそらくなし)
Follow-up period
4ヶ月
Setting
不明
Patients
- 18〜75歳
- 高血圧
- テキストの送受信ができる
- プライマリケア
- 最近の訪問も含む、少なくとも2つの範囲外の血圧測定値が12ヶ月前において最低2回みられた
Intervention
1. 通常のケア(対照群)
2. 電子薬瓶(薬瓶群)
3. 双方向のテキスト送受信(双方向テキスト群)(注:おそらくLINEやSMSといったメッセージ送受信システムのことを指している)
Outcomes
ベースライン時と比較した最後の4ヶ月の受診の間の収縮期血圧の変化

Main Results

収縮期血圧の平均変化値(SD)
- 対照群で-4.7(23.4)
- 薬瓶群で-4.3(21.5)(p=0.94)
- 双方向テキスト群で-4.6(19.8)(p=1.00)
2つの介入群も互いに違いはなかった(p=0.93)

Conclusion

よく測定されたアドヒアランスにかかわらず、電子薬瓶のフィードバックも、アドヒアランスについての双方向テキスト送受信も血圧コントロールを改善しなかった。処方薬へのアドヒアランスは血圧コントロールに影響を与えるほど十分に改善しなかったか、コントロール不良の主要な原因でなかった。

Commentary

アドヒアランス不良は血圧コントロールの不良につながるのだから、改善することで血圧コントロールは良くなるだろう、というのは自明なことと思っていましたがそれを裏切る意外な結果だったため、今回MIAに選びました。
 要旨からは直接読み取れませんが、結論から察するに介入群のほうがアドヒアランスがよかったにも関わらず、血圧の低下の度合いは変わりませんでした。
今回の試験と似たような試験で、スマートフォンのアプリの使用がアドヒアランスと血圧に与える影響を調べたMedISAFE-BP試験があり、それにおいても、Morisky Medication Adherence Scaleが改善したにも関わらず、収縮期血圧の変化値に違いはありませんでした。
 我々薬剤師からするとアドヒアランスを重要視してしまいがちですが、血圧のコントロールの観点では、もしかするとそこまで重要ではないのかもしれません(ただし、あくまでも血圧はソフトエンドポイントですので、もしかしたらハードエンドポイントには影響を与える可能性があるかもしれない点は注意が必要です)。

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