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コロナ禍の収束はいつ? ~世界の回復レベルを示す「正常化指数」とは~

世界各国でワクチン接種が進んでいるものの、新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)は、まだ収まる気配を見せていません。収束まで、まだしばらくは長くつらい道のりになりそうですが、コロナ後の世界は、どうなるのでしょうか。

英国エコノミスト誌は、独自に「normalcy index」(正常化指数、と訳しておきましょうか)」を設定しました。

「これはパンデミック前の平均値を100として、世界人口の76%を擁する50か国にわたって飛行機輸送、交通、小売業などの状況を追跡調査したものだ。現在の指数は66であり、昨年4月の水準のほぼ2倍になっている。」
"Taking the pre-pandemic average as 100, it tracks such things as flights, traffic and retailing across 50 countries comprising 76% of Earth’s population. Today it stands at 66, almost double the level in April 2020."(英エコノミスト 2021年7月3日号 "The long goodbye"より。以下引用同じ)

この数字が最も低いのはマレーシアで、正常化指数は27ということです。記事によると、マレーシアではワクチン接種がまだあまり進んでいないせいだとされています。

さらにワクチン接種が進んでいないのがアフリカで、この記事がかかれた時点では、1回目の接種を受けた人が、まだ13歳以上の人口の2.4%だけということ。貧しい国でワクチンが不足し、富裕国よりも多くの死者が出るという2つの世界の分断はまだ続きそうです。

また、変異株の出現も気がかりです。

「現在の変異株はワクチン接種済みの人々の間にも広がっている。重症化と死亡の確率をほぼゼロにするワクチンの性能を損なうような変異はまだ起きていないが、次なる変異株が出現すれば、これもどうなるかわからない。」
"Today’s variants are spreading even among the vaccinated. No mutation has yet put a dent in the vaccines’ ability to prevent almost all severe disease and death. But the next one might."

ワクチン接種がどんどん進んでコロナ収束!という楽観的なシナリオもあれば、ワクチンと変異株のいたちごっこに陥り、収束が長引くシナリオも考えられます。でも、いつか収束することは間違いありません。

アメリカではすでに経済が急速に回復しており、今年3月には、経済成長がパンデミック以前のレベルを追い越したほどですが、正常化指数はまだ73だそうです。その理由は、自宅で仕事をする人が増えたせいで、都市に活況が戻らないせいです。

今回のパンデミックの恐怖が人々の価値観や行動様式に変化をもたらし、それがコロナ収束後も習慣として続く、ということも考えられます。

例えば、感染を防ぐための都市封鎖(ロックダウン)は、欧米では外出禁止や罰金などかなり厳しいものでしたが、それでも感染をある程度おさえたことで(実際に効果があったかどうかは議論の的ですが)、安心感を持てた国民はその多くが政府の措置を支持しました。

このように、政府が国民の生活や行動に逐一介入する「大きい政府」を志向する傾向は、コロナ後も続くのかもしれません。

100年前のスペイン風邪の流行のときは、パンデミック後は人々の解放感が爆発し、実生活でも芸術の上でも性に対して開放的になったり、スピード狂が増えたりしたそうです。災いが去ると大胆になるって、人間の不思議な心理ですね。今回のコロナ後は、人々の気持ちはどこへ向かうでしょうか。

「コロナウイルスが襲来する前にも、デジタル革命、気候変動、そして中国の台頭によって、第二次世界大戦後の西側主導の秩序は終わりを迎える気配を見せていた。パンデミックは、この変革を早めることになるだろう。」
"Even before the coronavirus came along, the digital revolution, climate change and China’s rise seemed to be bringing the post-second-world-war, Western-led order to an end. The pandemic will hasten the transformation."

収束まではまだ長い道のりかもしれませんが、今のうちからコロナ後の世界を見通して行動すれば、何かいいチャンスがつかめるかもしれませんね。今はじっと我慢の子でも、これはコロナ後の世界に向けた準備期間と考えて、着々とがんばってみましょうか。












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