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詩:とろける

まよい 悩みを抱いたとき
どうしようもなく心と体がバラバラになってしまう

肉体と空気との境が曖昧になって 
肉体という確かな器によって形を作られていたはずの心は
陽炎のようにゆらめき 浮足立ち 
拠るべきところを失い 不確かな水のようにジワリジワリと
あるべきところに収まることが出来なくなってしまった
生きていることはどこか他人ごとのよう
現実が走馬灯のように私を置いていく

まよい 悩みを抱いたとき
どうしようもなく心と体がバラバラになってしまったら

肋骨を大きく膨らませる ジンジンと肺胞に空気が広がっていく
肺胞から空気を受け取った血液がジュワジュワ体を巡るのを感じる
フワフワと浮足立っていたかかとがストンと地面を踏みしめる
ああ、これで大丈夫
私は生きている
生きてこの大地に立っている
大地をの二本の足で踏みしめて


#創作大賞2023
#オールカテゴリ部門

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