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聖地の音を録りにいこう!音の巡礼のススメ 〜身延山の場合〜(前編)

音の巡礼 管理人の遠藤卓也です。
2/17(水)・2/24(水)・3/3(水)の3日間に渡って開催予定のオンライン講座「音の巡礼 山の巡礼 - 身延山編 -」で使用する音素材の録音のために、身延山へ行ってきました。
ひとり聖地に赴き、音を採集するのはまさに「音の巡礼っぽいなあ!」なんて思いながら行ってきたのですが、フィールドレコーダーを携えたひとり旅が予想以上に楽しくて、読者の皆さんにもお勧めします!

準備したもの

これまでフィールド録音なんてしたことがなかったのですが、友人のサウンドエンジニアからの情報を頼りに、手頃な録音機材として定評のあるZOOM社(WebミーティングのZoomとは無関係)のフィールドレコーダー「ZOOM F-1」と、ステレオショットガンマイク「SSH-6」を購入。
なんとなく伸びたり置けたりするスタンドがあると良さそうという勘から、Amazonで「自撮り棒」と検索(笑)レビューもまあまあよさげだったULANZI「MT-16」をゲット。これで準備万端です。

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いざ録音!

出発前に、日蓮宗僧侶の皆さんが集うFacebookグループにて「身延山でのおすすめの音を教えてください!」と聞いてみました。様々な情報をいただいた中で特に気になったのは、

奥の院 思親閣(ししんかく)へのロープウェイ内のアナウンス

これは良さそう!
というわけで身延に着いてまずは真っ先にロープウェーへ!

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レトロな案内看板で、奥の院の位置を確認しているとどこからともなく素敵な放送が聞こえてきました。古めかしい蓄音機から流れてきたような美しい弦楽器の音色に、女性のナレーションがのります。

... 癒しと信仰のパワースポット身延山山頂には日蓮聖人ゆかりの名蹟、奥の院思親閣がごさいます。また山頂展望台からは雄大な絶景の大パノラマを満喫することができます。...

「パワースポット」「大パノラマ」といったキーワードで、いっきに旅情が湧き上がってきます。弦楽器の音もずっと聴いてたいくらいに心地よい。

まずはこの放送を録ろう!

冒険に出て最初のレベル上げみたいな気持ちで、音源となっているスピーカーを見つけてマイクを向けます。お昼過ぎの時間帯で、時折通り掛かる人の視線を少し気にしつつも、じっとマイクをむけます。車通りも少ないので、2 Takeくらいで満足のいく音が録れました。

奥の院からの絶景と自然音

そしていよいよロープウェーに乗ります。

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これまで「奥の院 思親閣へのロープウェイ内のアナウンスを録る」というミッションを課されて乗車したのは自分くらいかもしれない。
てっきり、車内アナウンス的な音声が流れるかと思いきや、なんと係の女性も一緒に乗ってくれて肉声でガイドという展開に!
えー、すごい贅沢。びっくりして許諾も得ずにとりあえず録音しちゃいました。(あとでちゃんとご説明できました。)

お姉さんの素敵なガイドを聞きながら、高低差763メートルをわずか7分間で移動!

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山頂からはこの景色!思わずこの空にむけてマイクをむけてみると、風の音、鳥の声、はるか上を飛ぶ飛行機の音が聴こえます。

少し雪の残る道を歩き、日蓮聖人お手植えの杉の間の階段を抜けると、思親閣の門が見えます。

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ご本堂も厳かに。

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この思親閣にて、オンライン講座「音の巡礼 山の巡礼 - 身延山編 -」にもご出演いただく、宿坊・端場坊 住職 林是乾上人と合流できました。

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早速、ロープウェーのガイドさんの声を録るというミッション遂行の報告をすると、「それは貴重な音を録られましたね」とのこと。実は間もなくロープウェーの機体が新しくなるタイミングでモニタが設置され、映像のガイドに切り替わるそうです。
機体が新しくなるのはよろこばしいことですが、ちょっと寂しさも感じる変化です。大事な音のおみやげとなりました。

思親閣ではちょうど午後のお勤めが始まるタイミングで、お経を録音させていただきました。ありがたい。

林上人のご案内で思親閣裏手へ。

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神聖さが漂う杉林。静か。

林を抜けると、絶景が眼前に広がります、、、来てよかった!

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この場所でも耳を澄ましてみると、色んな音がありました。

夕方前のちょうど良い時間帯だったのか光がすごく綺麗で、手持ちのiPhoneでは切り取りきれないのがもどかしい。
音を録りにいくと、ついつい絵も撮りたくなってしまうという。耳にも目にもうれしい時間がつづきます。
マイクを持ちながら、ちゃんとしたカメラも持つ方法を考えはじめてしまいます。

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山内にこだまする「寒行」の音

この日最後のロープウェーで降り、宿泊させていただく端場坊へチェックイン。録音した音を聴き返したりしながら、本日のメインイベント「寒行」の開始を待ちます。

身延山では、一年で一番寒いと言われる大寒の日から節分にかけて「寒行」という修行があります。身延山にいる大勢の僧侶たちが列をなして、南無妙法蓮華経のお題目をとなえながら、山内を歩き回るという修行です。
その迫力ある音は「音の巡礼 山の巡礼」の参加者にぜひ聴いていただきたい!という声があり、「寒行」をターゲットに取材日を決めたのです。

「寒行」に向かう前に、端場坊の上にある「行学寮」という学生さんのための寮での夕勤を録らせてもらいます。

寮のはなれにお堂があって、学生さんたちが元気な挨拶とともに集結します。そういえば「身延山で録ってほしい音」の中に、学生僧たちの声や足音というのもありました。いっきに冷え込んできた身延の空気に、若いお坊さんたちの声がよく響きます。

夕暮れ時のお経は赴き深く。

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リクエストのあった「板木(ばんぎ)」を打つ音も録れたので、途中で失礼して「寒行」の録音に向かいます。

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「寒行」スタート地点に行ってみると、すでに大勢のお坊さんがスタンバイ中。さすがの緊張感が伝わってきます。

僕はリュックを背負ってマイクを持った完全にあやしい風体ですが(笑)事前に林上人が取材用の「久遠寺」腕章を借りてくださっていたので、それがせめてもの免罪符となっている状態。

いよいよ僧侶たちが列をなして歩き始めたので、自分もなんとかついていきます。
山内にこだまする「南無妙法蓮華経」のお題目。山肌にあたってかえってきたり、川の水に吸い込まれていったり、木々の間をのぼっていったり、まるで音が生き物のように、場所ごとで聴こえ方が変わっていくのが面白い。いろんな場所にマイクを向けながら、響きの違いを味わいます。

少し先回りして身延の商店街で一行を待っていると、商店のみなさんも軒先にでてきて同じようにお坊さんたちを迎えます。
世間話をしたり、空にカメラをむけたり、思い思いのスタイルでお坊さんたちを待っている様子がとてもあたたかく平和な空気が流れていました。

そしてむこうからやってくるお題目の一行の放つ迫力の音をマイクにおさめて、この日の取材は終了。

夕飯は身延の商店街で地元の味を食べてみたいなと思い、林上人おすすめの「玉川楼」さんののれんをくぐりました。

身延っ子は玉川楼の唐揚げと餃子で育つ

という名言を聞いたからには食べずにはいられない。じゃあ、麦の泡のやつもよろしく!
、、、明日は4時半起きで久遠寺の朝勤の録音。はたして起きることができるのか!?(後編に続く

告知|オンライン講座「音の巡礼 山の巡礼 - 身延山編 -」

この旅で録音した音は、オンライン講座「音の巡礼 山の巡礼 - 身延山編 -」で聴くことができます(全ての音を流すことは難しいため、講座中にテキストチャットでリクエストしてください)
記事を読んで気になったことなども聞けるよう、ご出演のお坊さんたちへの質問タイムもあります。

2/17(水)より、全3回に渡って開催する オンライン講座「音の巡礼 山の巡礼 - 身延山編 -」は、参加者を募集中です!詳しくは以下の記事にて。


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