「大丈夫?話を聴くよ?」 その計り知れない力

「最近、ちょっと元気ない?大丈夫?よかったら、話を聴くよ?」

そんな風に声をかけてくれて、時間を割いて、話を聴いてくれる人がいることは、どれほど有り難く、幸せなことでしょう。

ただ、話を聴いてもらえること。
気持ちに寄り添ってもらえること。
良い、悪いの判断もなく、ただただ、気持ちに耳を傾けてもらえること。
それがどれほどの力を持っていることか。

『モモ』という、素晴らしい児童文学作品があります。

モモというのは、主人公の小さな女の子の名前です。
モモは孤児で、おうちもありません。
何か特別にすごいことができるわけでも、ありません。

でも、モモは町の人気者で、大人も子どもも、モモのところにやってきます。

なぜなら、モモは心から相手の話を聴くことができるからです。
相手の気持ちに寄り添うことができるからです。

だからみんな、モモのところに、話を聴いてもらいにくるのです。

モモは何か素晴らしいアドバイスをするわけでも、コンサルティングをするわけでもありません。
それでも、モモに話を聴いてもらった人は、大人も子どもも、スッキリとして、安心して、笑顔になります。

話を聴いてもらえること。
何かしながら、とか、片手間に、とか、ケータイを気にしながら、ではなく、心から、全身で、ちゃんと、話を聴いてもらえること。
それはつまり、気持ちに、寄り添ってもらえることであり、
「わたし」という存在そのものを丸ごと受け止め、受け入れ、大切にしてもらえることなのだと思います。

だから人は、話をちゃんと聴いてもらえると、心がほっくり、あたたかく、嬉しくなって、元気が戻ってくるのだと、思います。

『モモ』のお話には、「時間泥棒」という人たちが出てきて、人々の時間を盗みます。それで、人々(特に大人たち)は、どんどん心に余裕がなくなります。

今の社会は、とっても便利な反面、まるで「時間泥棒」に時間を盗まれているかのように、みんなが、なんだか忙しくって、せわしない。

そんな時代だからこそ、時間を気にせず、効率を気にせず、心から、ちゃんと、話を聴いてもらえることが、どれほど貴重で、どれほど有り難く、どれほど救いになるでしょう。

話を聴くこと。
それは、本当は、誰にでもできること。
だけど、現代社会を生きる私たちには、意識をしないと、なかなか、できないこと。
でも、意識さえすれば、本当は、誰にでも、できること。

どんなに忙しくっても、大切な人が、必要としているとき、ちゃんと、話を聴ける人で、あれますように。

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