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【活動報告】「PILCON for educators!第二回『性教育動画AMAZEを使った授業をつくろう!~性の多様性編~』」

こんにちは!NPO法人ピルコンです。

すっかり肌寒くなってまいりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

ピルコンでは、9月24日(木)19:00-21:00に「PILCON for educators!第二回『性教育動画AMAZEを使った授業をつくろう!~性の多様性編~』」を開催しました。

▼イベントページはこちらから
https://pfe2.peatix.com

今回のイベントも、「PILCON for educators!第1回『性教育をはじめよう!どう学ぶ?どう教える?』」の時と同様、主に教員・教員志望学生を対象に、学校における性教育実践のスキルアップのサポートをすることで、子どもたちが安心して生きていける環境づくりに貢献することを目的に行いました。
今回のイベントでは「性の多様性」をテーマに、オンライン講座と教員や教員志望学生などの参加者の皆さんも交えたディスカッションを行いました。


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セクシュアルマイノリティに関する現状

まずはフェローの講義を中心に、セクシュアルマイノリティを取り巻く現状や性の多様性に関する基礎知識を共有しました。

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セクシュアルマイノリティの当事者が経験する困難としては、「いじめ被害」や「不登校」、「自傷行為」、「自殺念慮・未遂」などが挙げられます。中でも、ゲイやバイセクシュアルの男性に関しては、平均18歳までに自分の性的指向についての自覚や自殺について考えることを経験し(※1)、性同一性障害(※2)の人の約9割が中学生までに性別違和感を感じています。

この現状を踏まえると、子どもたちが思春期までに正しい情報にアクセスできるようサポートしていくことが必要といえるのではないでしょうか。

※1:『大阪市人権だより「KOKORO ねっと」号外』

※2:参照したデータに従って「性同一性障害」と表現しています。(参照:Rebitウェブサイト

性の多様性に関して学校でできること

第二回配慮

性の多様性に関する基礎知識を踏まえると、授業や教材においては、「男女二元論」または「異性愛」のみ想定した内容になっていないか、ジェンダーバイアスを再生産していないか、当事者と非当事者の間に線引きをしていないか等を確認することができます。

避妊・妊娠や性感染症など直接身体に関わる内容を取り扱う際には、性別違和を抱える学生への配慮として「男/女の身体を持つ人」の他、「子宮や膣を持つ人/ペニスを持つ人」というように表現を工夫することができると考えられます。

また、「この中に(セクシュアルマイノリティの当事者)はいないと思いますが…」というような発言に注意するなど、目に見えない当事者の存在に配慮することが必要です。

多様な性のあり方・セクシュアリティについて

第二回そじー

セクシュアルマイノリティ当事者を指す「LGBTQ+」などの他に、すべての人に当てはまる言葉として「SOGIE(Sexual Orientation Gender Identity Expression)」があります。SOGIEは「性的指向(どの性を好きになるか)」「性自認(自分の性をどのように捉えるか)」「性表現(自分の性をどのように表現するか)」を表します。そのため、SOGIEを使って性のあり方を説明することで、一人一人が当事者・非当事者という境目のないグラデーションのなかに存在し、揺らぐ可能性もあることを伝えることができます。

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今回のイベントでは、カミングアウトを受けた際に気を付けるポイントとして2つご紹介しました。

1つ目は正しい知識を持って支援することです。「(スライドの「思春期にはよくあることだから、そのうち治るよ」という発言には「異性を好きになることが正常である」「同性愛は治るもの」という誤認が含まれています。また、相談した生徒にとっては「悩みを受け止めてもらえなかった/自分が否定されている」という発言にもなり得ます。カミングアウトに寄り添い、悩んでいる生徒を支援するためには気持ちだけではなく、性に関する正しい知識が必要です。

2つ目は、「無自覚なアウティング」に気を付けることです。スライドの例に挙げられた教員は、周囲と連携してセクシュアルマイノリティの生徒に配慮する必要があると考え、生徒の性的指向を職員会議や親御さんと共有したものと思われます。

しかし、たとえ善意に基づいた行動であったとしても、人の性のあり方をその人の許可なく周囲に話してしまうことは「アウティング行為」です。セクシュアルマイノリティはその性のあり方に対して、家族から理解を得られないケースもあるため、本人の合意・許可を取った上で周囲に話す必要があります。

もし性のあり方に関して相談された場合は以下のスライド・webサイトを参考に行動することができます。

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参考:ReBit 中学校向け「Ally Teacher’s Tool Kit (アライ先生キット)」より

今回のディスカッション

第二回

第二回最後

イベント後半では、前半の基礎知識を踏まえて「15分でできる簡単な授業案」と「偏見や差別にどう向き合うか」に関するディスカッションを行いました。今回はディスカッション①で出た授業案や意見を少しだけご紹介します。

【授業案】

①授業の前置きとして「真面目な話だよ」、「誰かのことを名指しで茶化してはいけない」と伝える(1分)

②AMAZE視聴(4分)

【性自認】女性になること、男性になること、性別をこえること、ゆらぐこと

【同性愛ってなに?】性的指向について知ろう!

③好きなフルーツに手を挙げてもらう※「フルーツが嫌い」な人も想定

(性的指向を好きなフルーツに置き換えて多様性を理解してもらう)

④「もし自分の性に関して茶化されたら?」というテーマで、「嫌なことは嫌と言って良い」「性の多様性に対する無理解は人を傷つける」ことを補足

(③④計10分)

【参加者の意見】

・タブレットを使って、学校におけるジェンダーバイアスを生徒から匿名で提出してもらい、教員から共有する

・身近な教員から性の多様性に関する経験談を聞くことで、生徒の心に響くのでは?

どのグループのディスカッションも様々な視点からの意見が交わされ、充実した時間を過ごせたように思います。イベントに参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました!


次回予告

次回のPILCON for Educators!は、

11月20日(金)19:00~21:00                   第三回「AMAZEを使った授業をつくろう~性暴力ハラスメント編~」!

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性暴力やハラスメントに関する基礎知識や法律などの情報共有をはじめ、学校でできる工夫や授業について皆さんと交流できる内容を予定しております。学生の皆さんには、お友達と参加で割引サービスもご用意しております!お気軽にご参加くださいね!!


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この記事を書いた人:フェロー・インターン 石川茉由(マユ)
 東京学芸大学教育学部3年生。2019年よりピルコンでフェローとして活動をはじめ、今年6月からインターンとしても活動を始めた。大学ではセクマイサークルの副代表として、教員志望学生に向けた性教育の情報発信活動「アライぐま先生の会」を企画中。最近はタンザニアの学校における性犯罪予防・性教育が気になっている。好きなことはラクロスと昼寝。






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