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データ処理するように食べない。

今日はふらりと、サラダボウルのお店に行きました。僕以外の客はいなくて、静かな店内。店員さんも一人で、時間の流れをゆっくりと流すには良い空間でした。

注文していたブッダボウルが目の前に出されて、以前教わったレージング(レイジング)・コンシャスネスというワークを思い出しました。このワークは直感を磨く、第6感を鍛える方法として開発されたそうです。本来はレーズンでおこなうそうですが、この日の僕はブッダボウルでおこないました。

  1. 目の前にある料理(レーズン)を目で見る。中に何が入っているのか。彩りや形、グラデーション。つぶさに観察します。「このレタスとこのレタスでは色艶が違っているな」「よりみずみずしいのはこちらの方だろうか」「この蓮根の穴の大きさは…」表面のつやや皺、かさかさした感じ、オイリーな感じ、丁寧に眺めます。

  2. 料理(レーズン)を触ってみる。実際に手、指で触れて質感を感じます。レーズンやナッツだと手で触りやすいですが、料理だとこの部分が少し難しくなります。仕方なければ、お箸やスプーンで軽く押してみたり、触れて、お箸やスプーンを介しての触覚をていねいに感じます。スプーンのエッジで食べやすい大きさにカットするなら、そのエッジが入っていくまさにその瞬間の手や腕に伝わる感覚、そこから実際に切り分けられるまでのすーっとスプーンが入っていく質感を感じ取ろうとします。手でレーズンやナッツなどを手に持っているなら、転がしてみたり、指の皮膚のセンサー(固有受容感覚)でより感じ取りやすいはずです。

  3. 料理(レーズン)を匂います。サラダボウルに使っている、酢の匂い。鼻の中に広がっていく気持ち良さ。涼しい気分。香ばしさやみずみずしさ、香り、匂いを一所懸命感じ取ろうとします。過去に匂ったことがあるか、それはいつだったか。今感じ取れている嗅覚、その匂いのもう一歩先、もう少し丁寧に、もう少し繊細に。もう少し、自分は受け取ることができるだろうか。感じ取ることができるだろうかと、チャレンジします。

  4. 口の中に実際に、食べ物(レーズン)を運びます。口の中に入れますが、飲み込むようには食べず、口の中でまた感じようとします。唾液と混じっていく中でどういう味わいがあるのか。何が広がっていくのか。口の中、全体の感触。歯や舌での感覚。口の中で食べ物を転がしてみて、手で触れた時と同じ感覚なのか、スプーンを介して触っていたなら感覚的に想像と合致しているのか。飽きてしまうギリギリまで口で感じ取ってから、ゆっくりと咀嚼し、また丁寧に少しずつ噛んでいきます。少しずつ、味わっていきます。口の中に運んだ時から、口の中で崩れていき、柔らかくなったそれを感じ取りながら、自然と飲み込んでいきます。すぐに飲み込まないように、ギリギリまで感じ取るように。喉に入っていく感覚も繊細に感じようと努力します。

  5. 一粒のレーズンであれば、1から4で終わりになりますが、この行き来を料理を通して食べ終えるまで続けていきます。

それぞれの五感を使って、1つ1つのプロセスを丁寧にしながら料理を食べる。これは1つのトレーニングで慣れ親しんでいる食べ方ではないですし、疲れそうに感じるかもしれません。この文章を読むだけだとそう思われるでしょうが、実際におこなってみると自分の生命が生き生きとするのがわかります。続けてみると、景色が変わってくるのがわかるはずです。

食事に限らず、誰かと過ごす時間もこれぐらいの気分で大切にしたいところです。ヨガやピラティス、何かのプラクティス、トレーニングも同じようにしたいところです。初めてこの動きをするという好奇心や探究心を持って、1つ1つのエクササイズ、アーサナ、トレーニングに取り組めているかどうか。「ああ、これでしょ」という気分では知識にはなっていても、自分の血肉にはならない。本当に価値があるもの、意味があるものにするには命を宿さなければならないのです。

そんなことを、このワークは思い出させてくれます。

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