ヨガやピラティスの先生になる人たちへ

今回の内容は、書こうかどうか迷いました。理由はある人たちを傷つけてしまうかもしれないし、ある人たちを怒らせてしまうかもしれないと思ったからです。

ホットヨガの問題

「ホットヨガ」によるめまい、のぼせ、吐き気、頭痛に注意！−レッスン中だけではなく、レッスン後に体調不良となることも−(発表情報)_国民生活センター

国民生活センター、つまり国から正式にホットヨガの問題が提起されました。

一般の人達は知らないけれど、私たちヨガやピラティスに関わる人間にとっての常識が「ホットヨガは健康に悪い」ことでした。

資格を取得したばかりで、まだ実力や経験がない場合は知らないかもしれません。でも多くの人が体調不良になったり、健康を害しています。これから「就職しよう」「レッスンする場所を探そう」と考えると、もしかすると早い段階でホットヨガスタジオの求人が目に留まるかもしれません。理由は、ホットヨガでレッスンをしている人達が健康を害して辞めていく、入れ替わりが激しい世界だからです。

学校や資格団体の先生も、どうか仕事を得て欲しいと願っているので、「そんなところで働かない方がいいよ」と言ったりはしません。でも、10年後もホットヨガスタジオでレッスンして欲しいとは思ってはいないのです。そもそも10年も続けていたら、自律神経系が異常をきたしてしまうでしょう。

私が今回お伝えしたいことは、ホットヨガの悪口ではありません。なんとなくサウナとヨガの２つの効果が同時に得られそうだとか、汗をかいて痩せそうというファンタジーがホットヨガにはあります。情報をきちんと調べない人が残念ながら多いので、世の中からなくなることもないでしょう。そういうお話ではなくて、私が今回お伝えしたいのは「嘘をつかないでください」という話になります。それは別に綺麗事ではなくて、皆さんの潜在意識（無意識）を守るため、皆さんのためです。

宝くじを買ってはいけない

今から15年ほど前、私は尊敬しているある先生から「宝くじを買ってはいけない」と教わりました。

「○億円が当たったらいいな」と思って宝くじを買うということは、自力では○億円を稼げないことを自分で認めているということになるんだよ

自分の潜在意識（無意識）に対して、マイナスの種を植えつけているということになります。なるほど、面白いなと思いました。そして、皆さんがもし就職先やレッスン先を探しているとして、ホットヨガスタジオを選ぶとしたら、同じことが言えてしまうと思いませんか。同じどころか、もっと悪いマイナスの種を植えつける危険性もあります。

どういうことか、説明しましょう。

その前に...

それ以前にそもそも、ホットヨガは健康に良くないことを「信じられない！」という人もいるかもしれません。そうだとしたら、少し厳しい言い方ですが（ごめんね）、少し不勉強です。生理学を勉強する必要があるかもしれませんが、シンプルに何人かの先輩インストラクターに聞いてみるといいと思います。今現在ホットヨガスタジオで働いている人に聞いても、もちろん意味はありません。もう少しニュートラルな、偏っていない意見や経験談を聞いてみてください。

マイナスの種を自分に植えてしまっている理由

例えばもし、この投資信託に申し込むと損をする、目の前の人は将来困るとわかっているのにお薦めしている営業マンがいるとしたら、皆さんはどう感じますか。「詐欺師！」「ひどい人間だ！」と感じるはずです。目の前の人が不幸になるとわかっているのに「儲かりますよ」と言っているのだから、そうはそうですよね。

ホットヨガが健康に良くないと知っているのに、教えているとしたら同じことになっていると思いませんか。目の前の人が不健康になっても、不眠や生理不順になったり、目眩や頭痛に苦しんでも構わないと思いながらおこなうほど、価値のあるものでしょうか。それでも目の前の人は喜んでいるからいいのだと思ったとしても、どこかで後ろめたさがきっとあるはずです。それは目の前の人を裏切っているだけではなく、「ヨガやピラティス、ボディワークでたくさんの人に健康になってもらいたい」と純粋に思っていたあなたの潜在意識（無意識）を傷つけていることになるのです。

あなた自身を傷つけていることが、私には何より悲しいし、それは良くないことだと今回お伝えしたい訳です。

目の前の人に嘘をつくことも倫理上、良くないことです。でも、自分に嘘をつくことはもっと深い部分で良くないのです。自分自身の可能性を損なうことになりかねません。

別に私はホットヨガに両親を殺された訳でもありませんし、なんの恨みもありません。ただシンプルに健康に良くないことを知ってしまったのなら、それを健康に良いですよと伝えながらレッスンする必要はないのではないですかと。それは目の前の人も不幸だし、何よりあなた自身を傷つけますよと伝えたいのです。もしもう既にレッスンをしているなら、すぐに辞めることを考えるべきです。自分の可能性を限定する必要はないのです。自分の健康を害しながら、無理をしながらおこなう価値はないはずです。身体の健康も害して、潜在意識（無意識）を傷つけても何も得るものはないのです。

きちんと本質的なことを勉強して、ていねいなレッスンが提供できる実力をつけることの方が余程、皆さんの将来を豊かなものにしてくれます。あなたが憧れたのはホットヨガインストラクターではなく、ヨガインストラクターだったはずです。周囲の人を笑顔にする存在、より美しく健康に導く存在、ピラティスインストラクターだったはずです。

ホットヨガスタジオを経営している人、就職している人にとっては不快な内容かもしれません。その中で友達もできたり、人間関係ができていたり、スタジオを好きな気持ちが湧いている人もたくさんおられるでしょう。そういう人たちにとっては、腹立たしい内容かもしれません。でも私はそんなあなたを責めたい訳ではなく、あなたが傷つかない選択をして欲しいと思って嫌われるような内容のこの記事を書いているのです。