Style can’t be mass-produced...

「スタイルは大量生産できない」

タイトルのこのフレーズは、商業的なアートシーンに対する70年代後半のNYスラム街のグラフィティアーティストたちがよく使った言葉、だそうです。実際にそうだと思います。

冷静に考えれば、ファストファッションがどういうビジネス構造で商品があの値段で目の前に陳列されているかわかるように、すべての大量生産されるものたちには、そうなっている背景があります。「もの」ではなく「サービス」すべて、もちろん「身体」に関することだって同じです。

昨日、髪を切りました。
これまで大阪で髪を切っていたので、スタジオのある中目黒近郊で探していて、まず1軒目として恵比寿のお店を利用しました。行きつけのコーヒー屋さんから紹介された担当の美容師さんは、チェーン店で10年近く勤めていて、2年前に今のお店に移って来られたそうです。

「どういう想いで、この瞬間ハサミを入れたのか」
そんなことを移って来てからオーナーから言われたり、これまでのチェーン店とはまったく違う世界だそうです。コーヒーの世界も同じです。スターバックスやドトールのようなチェーン店は存在していることには価値があるものの、私の行きつけのコーヒー屋さんとはまったく違っています。ボタンを押すと抽出されるコーヒーやエスプレッソとはまったく違うクオリティを、バリスタさんは提供してくれます。私は"お客Aという記号"ではなく、"葉坂という個人"であるという感覚が得られます。値段は倍ほど違うかもしれませんが、それはまったく違う経験なのです。単にブランディングしていて...とかではなく、プロセスがまったく異なるのです。

ピラティスやボディワークについても、もちろん同じです。チェーン店のヨガやピラティススタジオがあります。それらは私にとっては、スターバックスやドトールです。私が最初に就職した会社はスターバックスですし、そこでの経験はとても良い想い出です。たくさんのことを学びました。ベストを尽くしました。ですから否定している訳ではないのですが、それでも大量生産されているものには"生命"がありません。

賢くユニクロなどをコーディネートに取り入れることはスマートだと感じますし、私もファッションは好きですが身の丈にあった生活をせざるを得ないので、靴下などユニクロで購入します。ですが、全身ファストファッションの大人の人はちょっとどうなのでしょうか。あまりに文化や哲学に欠けているし、セルフイメージ(自分で自分という存在をどう捉えるか)に悪い影響を与えて、トータルとしてマイナスでしかないのにと思ってしまいます(「ほっといたれよ」ですが)。

同様にヨガやピラティス、ボディワークについても上質なクオリティのまったく違う世界があることを知って頂きたいと思います。巷で見かけるQBハウス、洗髪してもらうこともできない最低レベルの散髪屋さんで、10分1000円なのです。皆さんがヨガやピラティス、あるいはマッサージや何かのセラピーを経験しようと思っているとします。その価格が60分6000円以下であれば、「そのパーソナルトレーニング・セラピーは、ちょっとどうなのだろう」と考えてみてください。もちろん、6000円以下の価格帯であってもよいセラピーはありますが、極めて少ないです。

そういう環境で働いている方であれば、先に挙げたバリスタさんや美容師さんのように、まったく違う世界があることを知ってください。知っているなら、特にもし純粋に「目の前の人に最上のクオリティのレッスン・セッションを提供したい」というのであれば、私たちの世界に飛びこんで来てください。

グループレッスンだって、同じです。
以前フィットネス業界の飲み会に参加した際、「二日酔いでも勝手に口が動いてレッスンできる」「(色々なジャンルのレッスンが提供されている)フィットネスクラブで働く俺たちは、フードコートのお店みたいなものだ」と、こんなことを言っている人たちがいました。そうはならないでください。ミュージシャンがライブに備えるように、真剣な準備をインストラクターはするべきです。

レッスンの参加者にはインストラクターの見た目が好みだとかそういったことだったり、流行りのメソッドだとかそういったことだったりではなく、そういう質感でおこなわれているものに出合って欲しいと思います。レッスンを提供している人はそういう気分で、例えば、地下の芸術家のような矜持を持ってレッスンをして頂きたいです。喉などを含めたレッスンに関係する身体のコンディショニング、メンタル面もそうです。勉強など、知識や技術面だってそうです。今年は、私もワークショップや養成コースを積極的におこなっていきます。是非、学びに来てください。

Style can’t be mass-produced...
良い言葉に出合って、飛行機の機内で一気に書いてみました。



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