ロールアップについて(コツを掴む)

ピラティスの世界でもっとも簡単で、もっとも難しいエクササイズがロールアップだと言われたりします。

寝ているところ(仰向け)から起き上がる(長脚座り)動作、また起き上がったところから寝るところまでの行き来が、ロールアップです。意識する点については、レッスンに参加くださっている方皆さんにお伝えしている通りです。

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・腕の角度
・足先と手先への意識
・脚と床の関係性
・呼吸

簡単にまとめると、この4点に集約されます。人それぞれ身体の硬さや柔らかさ、体型など違いはありますが、基本的にはこの4つが意識できていれば、必ず起き上がることができます。

「(行きの場面で)起き上がれない」
「(起き上がった後、帰りの場面で)ドンと背中が床に落ちてしまう」

「できない」と感じる人が、まずクリアしたい関門はこの上のような状態から抜け出したいということでしょう。起き上がることが目的ではないのですが起き上がることのできない段階だと、兎にも角にも「起き上がりたい」と思うはずです。その気持ちはとても理解できるのですが、ロールアップの目的は起き上がることではありません。メインとなる目的は、「背骨の柔軟性を養うこと(身体的)」になります。

そして、もう1つの目的は「自立心を養うこと(心理的)」です。このエクササイズと心理的な関係を言及している指導者は私以外にはいないと思いますが、得られる効果として隠れた重要な側面になるので心に留めておいてください。

背骨の柔軟性や自立心の獲得(向上)といった目的のための手段が、このロールアップになります。目的が手段と入れ替わってしまってしまうと、起き上がることが難しい人はより起き上がることができなくなります。また、起き上がることができても、本人が自覚できないところでズルをしてしてしまっていることもあります。勢いをつけて無理やり起き上がっていたり等して、本来の目的を見失っているのです。それでは、ピラティスの本来の効果を得ることはできません。結果、背骨の柔軟性や自立心を獲得(向上)することがないまま、自己満足の結果に陥ってしまいます。

起き上がることそれ自体が出来ても出来なくても、身体の内側を感じる状態であること。心が落ち着いている必要があります。心が穏やかで、自分自身を感じることができていなければ、先に挙げた4点(「腕の角度」〜「呼吸」)を同時に意識することはできません。エゴの強い状態、焦っていたり、気負っていたりすると4つのうちのどれかに意識は向けられても、他のどこかへの意識が抜け落ちてしまったりします。

ピラティス・ボディワークの場合は、「何をするかではなく、どう在るのか(Doではなく、Be)」が非常に大切なのです。

レッスン時によく伝えている4点のすべてを落ち着いた気持ちで意識すること、そして動きと呼吸が最適なタイミングでつながることで、身体は協調的に動きます(コーディネーション)。身体(身体、身体と心)の協調性を養うことも、こういった取り組みを続けることで得られるメリットとなります。

最適なタイミングを提供しているのが、グループレッスンや個人セッションであれば、インストラクターの役割になります。もし皆さんがレッスンやセッションに参加をしてロールアップをおこなうのであれば、頭を空っぽにして(考えこまずに)インストラクターの伝える言葉に身を任せてみましょう。きっと、できなかったことができるようになる可能性を感じるはずです。また皆さんがインストラクターになったばかりの方であれば、このタイミングを提供することが重要な役割になるので、振り付けを伝えるだけのインストラクターから脱皮していきましょう。

もしレッスンなどに参加して、「できた!」という実感が得られたとします。そういった成功体験が得られた方は、自宅でもマットなどを敷いてチャレンジしてみてください。もし自宅で一人でも今までにはない感覚でこの動作ができたのであれば、コツを掴んだのだと思います。コツを掴めたということは、身体の内側の感覚(内観力)が成長したということです。ちなみに、カンを養うことで外側の感覚が成長します。感覚開発は偏りがちですが、どちらもとても大切です。ピラティスへの取り組みは、より内側の感覚の成長を促します。この成長は身体的にも心理的にも、日々の生活に何がしら豊かさをもたらします。

コツを掴んだ後にも、またロールアップが思うようにできなくなることもあるかもしれません。もしピラティス・ボディワークへの取り組みから遠ざかっているのであれば、感覚を喪失してしまったことになります。でも、大丈夫です。初心に戻って取り組むと、比較的早く再び感覚を取り戻すことができます。

また、もしかすると心理的な状態によって、出来なくなってしまったという可能性もあります。感情や生活の状態は、身体や動きに色濃く反映するのです。まったく関係なさそうな人間関係や仕事でのストレスによって、ロールアップができなくなるということは実はよくあることなのです。そんな時は一旦マットから離れて、椅子にでも座りましょう。ひと呼吸して、その問題と向き合ってみてください。問題自体がすぐに解決するかどうかは関係なく、「友達と喧嘩しちゃったことが、身体に影響あるんだなあ」と自覚するだけで良い方向に少しずつ進んでいきます。そしてまた、数日後に新鮮な気持ちでピラティスをしてみてください。またできるようになっているはずです。


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