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研究者を目指す君へ ~博士課程に進んでいい条件~

こんにちは、ぴくむんです。

いつもは人生において役に立つ情報を発信していますが、
この記事はターゲットを絞って研究者を目指す人に絞って発信します。

私は研究者を目指して、物理科学系の大学院に進学し、博士課程まで進みましたが、D3で力尽き、単位取得退学という形でアカデミックの世界を去りました。

今ではだいぶ博士課程の情報は出回っていますが、
失敗した人の情報というのは負い目を感じて発信されないことが多いと思いますが、勇気を出して、アカデミックの世界で討死した側からの目線を発信したいと思います。

研究者を目指したい人の役に立てればこれほど嬉しいことはありません。

本文

博士課程に進んでいい要素を箇条書きにする。
人によっては当てはるところもあると思うし、当てはまらないところもあると思います。気をつけて欲しいのは、そこで、正常化バイアスをかけて、都合の良いところだけを切り取らずに、できるだけ向き合ってください。
ちゃんと向き合って、対策を取れば乗り越えれるはずです。

1.何があっても動じない心を持っている、もしくは財産を持っている

研究者の世界というのは、任期なしのポストにつけるまでは常に不安定である。
経済面でも研究の評価も日々の生活も不安定である。
博士号を持っていても、社会で働く上で何の役にも立たない。
ネガティブな情報ばかり入ってくる。
人によっては、世界を救いたい、この世の謎を解明したい、偉人になりたい、といった大義名分をかかげ、現実が厳しいことを逆境と捉え、
「こんな過酷な状況で夢に突き進む俺マジで偉人」
という様な謎のヒロイズムを感じている人がいるかも知れない。
しかし、残念ながら現実はそれ以上のものが来る。

よく人は、研究者の道はイバラの道というが、具体的にどういう事がおきるかというと、

プライベートを全て犠牲にして、
平日は夜遅くまで、土日の休日なんてありはしない、
彼女も友人も諦め、心を込めて研究しても、研究発表しても浴びせられるのは弱点を指摘するもののみ。
それを耐えても。指導教官からは「このままでは卒業は厳しいね。」と宣言される。
病んで休んでいた日曜日の夕方から指導教官から、研究に関するメールが飛んでくる。
通帳を見れば、増えていく奨学金。
半年に一度25万円の授業料という名の罰金を支払う必要がある。
そして、愚痴りたくてもキャンパスには、修士時代にいた友人はもういない。
たまに友人との飲み会に行けば、初任給で30万円もらったとか、今度結婚するんだとか、そんな明るい未来の話をして苛立ちを覚え、心の中では「俺は研究を通じて世界に貢献している高尚なことをしているのだ、こいつらとは違う」と思う様になり自分から友人との距離が開き始める。
そして、飲み会から帰ったら、どうしよう今日研究してないと焦燥感に駆られて、卒業できるのかとだんだん不安で寝つきが悪くなる。
そして、3年になると将来のポストがどうなるかわからない、実験の準備がうまくいかない。誰も助けてくれない。
世界中で、ただ自分1人だけで頑張っているような気がしてきて、自分が惨めになり、自分で自分の肩を抱きしめて、寝られなくなる。

恥ずかしいながら、ほぼ実体験である。
このような地獄みたいな日々を3年程度動じずに耐えられる、
もしくは別に、上手くいかなくても全てを覆す財産を持っているのであれば、博士課程に進んでもいいだろう。

2.自分の研究室に過去に博士号をとった卒業生、現役の先輩がいる

先輩というのは素晴らしい財産である。
先輩がいれば、自分が通らないといけなかった地獄をスキップできる。
そして、前例があるというのは非常に大きい。
指導教官も前例に沿って博士号を出すか出さないかを決めるので、過去に博士号をとった卒業生がいるのであれば、その基準を元に努力すればいいだろう。

3. 研究のテーマが先輩から引き継がれたものである

間違っても学生の分際で新規研究を始めてはならない。
何回も言うが、先輩というのは財産である。
卒論や修論や博論加えて、研究の時に使っていた計算コード、実験設備が整っているテーマを引き継ぐべきである。
展開がなくてもいいが、新規性というのは無理やりにでも捻り出せるものであるが、新規研究の場合、新規性以前に根底から間違っているケースもあるのでそこを突っ込まれたおしまいである。
なるべく、レガシーのある研究テーマを選ぼう。

4. 博士のテーマが修士のテーマと一貫している

学士の時のテーマは、研究のチュートリアルみたいなところがあると思うので、研究室変えをしても問題ないが、修士は別である。
人によっては論文を出すぐらい研究が進んでいると思うので、その修士の時のテーマと博士課程のテーマは一貫していた方がいい。
修論を英訳すれば、博士論文の4割程度終わっているぐらいが望ましい。
間違っても修士のテーマを捨ててはならない。
これは研究がうまく進まないと本当に終わってしまう(実体験)。

5. いい意味で指導教官を信用してない

指導教官は人間である。神様ではない。
感情的になって怒ったりもするし、間違ったことも言うし、プライドが邪魔して素直に謝ることができないこともある。
研究力が日本でトップレベルだとしても、他のマネジメント力だったり、対人力だったりが全くないケースは往々にしてある。
というか例外なくある。

つまり、指導教官は人ができているから大丈夫だろうなという考えは非常に危険である。
謎の信用は一切してはならない。
もし、研究がうまく行っていないのであれば、ちゃんと報告するべきだし、それでうまくマネジメントしてくれないのであれば、指導教官を変えるか、大学院から去るべきである。
年齢と借金が増えるにつれ、研究者に適性のない人間はどんどん焦り始まる。
そして、指導教官に謎の信頼を置き、その謎の信頼が裏切られた時の絶望感はこの世の終わりかとおもう(実体験)。

6. 両親に対してちゃんと了承をえている

博士課程は、何の生産性もない金を食うだけの役立たずである。

したがって、そのお金を出してくれる両親と良好な関係を築かなければならない。
・総額で博士号取るまでにいくらかかるのか
・ストレートで卒業できなかった時どうするのか
・途中で気持ちが折れてしまった時休学するのか、就職するのか
・うつ病になった時はどうするのか
などみっちり話し合っていた方がいい

そして、金銭面に不安があったり、将来性に不安があったりするときには、生産性の見込みのある博士課程になった方がいい。
例えば、
英語とかプログラミングとかweb制作がアホみたいにできるとか、
実業家と仲がいいとか、
研究のことだけに全力を捧げるのではなく、
一般的に、需要のあるスキルを中堅社員レベルまで磨いていた方がいい。
そして、定期的にアウトプットして、ポートフォリオにしてネットにまとめといた方がいい。
それがいつか君を救うことになるかも知れない。
もし、手放しで両親が金のこととか将来のことなんて心配するな、全て俺が面倒を見てやるって言ってくれるのであれば、そんなことしなくてもいいと思う。

7. 人間関係の方が研究よりも優先

研究にストックな人にありがちなのが、人間関係よりも研究を優先してしまうパターンである。
確かに実験期間中どうしても抜けられないパターンもあるだろうし、締め切り間近である時は、遊んでいる暇なんてないのは、重々理解している。
しかし、本当に忙しくない時は、人間関係を優先するべきである。
その人間関係がいつか君を救う日が来るだろう。
決して、俺は研究者になるからとかそんな鼻につくような振る舞いをしてはならない。
なるべく腰を低く低くして、謙虚に人間関係を保つべきである。
そして、くれぐれも、研究が忙しいからと言って、人間関係に対して、完全に拒絶するようなことをしてはならない(実体験)。
週に1回でもいいから連絡が来た場合はちゃんと取りあうべきである。

まとめ

以上が、私が教えられる未来の若者に足してのアドバイスである。
研究者というのは異常な生き物であり、現在の日本において、まともな人間が立ち入る場所ではない。
365日研究のことだけを考えているような輩もいるし、来年の未来なんて知るかというような輩もいる。
最初はそれがカッコよく見えるけれども、2,3年もすれば、辟易としてくる。
なんでそんなにクレイジーになれるんだと思うようになる。
私のような
・なるべく世間一般から見て惨めな暮らしをしたくない
・将来は結婚して子供が欲しい
・育児を手伝ったり、子供に勉強を教えたい
・家族で旅行したい
と思う様な甘ちゃんにはちょっと厳しすぎたし、
コロナという情勢も相まって、潰れてしまった。

これを読んでいる君がどの立場にいるかわからないけれども、私は博士課程というのは誰かに勧められて行く様な場所ではないと思っている。
誰かから反対されてもなお、自分のやりたいという気持ちを抑えられずに若者が仕方なく飛び込む場所であると私は思う。
しかし、飛び込む前に、私のアドバイスを読んで、心構えしてもらい、少し対策をしてから、良い方向に進んでくれたらこれに勝る喜びはありません。

それでは最後に、孔子の言葉を紹介して〆ます。

「誰も自分を理解してくれない、誰も自分を認めてくれない。しかし、それでも恨んだりしない。それこそ、立派な教養人ではないですか。」

孔子

あとがき

いかがだったでしょうか。
もちろん世の中には輝いてる博士課程の人間はいっぱいいます。
しかし、その殆どの人は、やっている研究の分野が社会的にホットだったり、めちゃくちゃ先輩からの遺産があったり、運が良かったり、天才だったり、お金を持っている人だと思います。

私みたいな、先輩の遺産がない人間にとっては、イバラの道になり、精神的に強くない私は耐えることができませんでした。
もし環境が違えば、研究者の私が誕生している世界線もあったかもしれませんが、それは考えても意味のない話ですね。

選んだ道を正解にするしかないっとTwitterで誰かが言ってました。

少しでも、これから出てくる研究者の卵の支援ができればなと思います。

何かあれば、連絡してください。
私の陥った失敗を避けるぐらいのアドバイスはできます。

こちらにも載ってけているので、もし良ければ遊びにきてくれると嬉しいです。

もし自分に興味があれば自己紹介noteがあるので読んでくれると嬉しいです。

Twitter : https://twitter.com/pikum55


フォローしてくれると嬉しいです。
ありがとうございました。


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