見出し画像

オンラインセミナーの作り方<前編>

皆様、全国地域での緊急事態宣言が解除されましたね!この2カ月近い間、ライブ配信やウェビナーなどでいろいろな情報を収集された方も多いのではないかと思います。

前回のnoteで、様々なウェビナーのツールをご紹介しましたが、逆に当社には、ウェビナーを開催したいので、やり方を教えてほしいという問い合わせが数多く寄せられており、自分たちの経験や様々なTIPSを皆様に提供しております。今日はその中でも、あまりお金をかけずに自営で、ウェビナーを行うとき、何を準備すればよいのかをご案内します。

私自身が、年間30回以上のオフライン、オンラインのイベントを企画、協力し運営してきたときの経験に基づくノウハウをご案内いたします。

①イベントの企画

ウェビナーに限らず、人を集めて情報発信をするイベントを行う際は、企画が必要です。セミナーをやる目的は、各社様々かとは思いますが、大きく分けると

 ①製品紹介を通して、会社や製品をPRしリード創出
 ②既存顧客を対象に、会社や製品自体の認知度、信頼度UP
 ③採用を目的としたセミナー
 ④有償でのセミナー(コンサルティング、著名人講演)など

があるかと思います。あくまでも、本記事は当方が多く実施しているにフォーカスしております。

②セミナーの目的を決める

 セミナーの目的も様々ですが、どういった人(職種、役職、特定の課題を持っている、など)を、どの程度集めたいのか(規模)を最初に思い浮かべると思います。規模については、企画の中段でも変更は可能です。30人集めるのか、50人集めるのか、100人集めるのかで必要なリソースや座組は変わります。広告を打って集客となると、予算も立てておく必要があります。

イベントの目的の例
 ・新規リード(見込み客)の獲得
 ・提案中リードへのフォローアップ
 ・顧客への追加販売、関連商品の紹介
 ・顧客の満足度アップ、流出防止
    ・販売代理店(パートナー)との関係強化

目的を見誤ると、後述するコンテンツやタイトル決めの時にどの方向性で進めればよいのかわからなくなります。

ウェビナーの場合は、会場のキャパシティなどはある程度柔軟に考えられるので、募集定員というよりかは、集客目標人数の方が大事になるかと思います。

◇このフェーズで決めること
 セミナーの目的、ターゲット層(職種、役職、エリア)
 定員(集客目標)、時期、予算
 競合排除するのか、応募者多数の場合抽選にするのか、先着制にするのか

③セミナーの座組を決める

1社開催の場合、後述の目的にもよりますが、集客力や、イベント企画の訴求力が非常に重要になります。参加者は、新しいことを知ろうとしてきていることが多いため、企画の幅は広い方が、人を集めやすいです。但し、それらに関係性が無いと、中身を組み立てられないので、関連性があったほうが良いです。ですので、最近は1社開催よりも共催型で複数社が一緒に開催するケースが多いです。

◇組み合わせカテゴリの例
例)コミュニケーション改革 ”ビジネスチャット×ビデオ会議×電話”
例)総務イノベーション大会 "オフィス家具×従業員の睡眠改善×コンサル会社"
例)マーケター大集合 "デジタル広告×リードナーチャリング×リモート営業”
例)新しいオフィスの形 "不動産会社×オフィス家具会社×移転設計会社”
※これらは実際にPhone Appliが開催した組み合わせです。

カテゴリの共通性や、ストーリー性、場合によっては意外性もあったほうが、いいですね。

この際、重要なのは、お互いの目的が一致していること。ゴール設定は同じ方がWIN-WINの立場で進められます。様々な準備で幹事社の負担は大きくなりがちですが、その分集客などで、他の協賛社には協賛をしてもらいましょう。

また、全てが売り込みセミナーにならないよう、ユーザ事例などの参加者の共感を得られるアジェンダを入れておくとベターです。お互いにWIN-WINになるためには、所属企業のPRや、スキルアップ、謝礼金などによるお礼などがお願いする際の交渉材料になるかと思います。

自社や共催の企業の関係者の人脈で、協力してくれるというパターンが一番多いのではないかと思います。やりやすいです。

◇このフェーズで決めること
 協賛企業との共通メッセージ
 協賛企業の組み合わせ案
 セミナー全体のストーリー
 ユーザ事例などの基調講演の有無とその候補

④全体のスケジュールを考える

イベントの企画から、実施までのおおよそのスケジュールとして、企画から集客迄の日程を考えると、最低でも2.0カ月程度は必要です。大規模なイベントとなると半年前以上からの調整になりますが、ウェビナーの場合は会場調整などの負担がなくなるので、1.5カ月でも開催できます。

◇大枠の流れ 
 ・企画立、各社声掛け、内容調整(0.5カ月)
  ・タイトル、話者確定、申し込みページ作成(0.5カ月)
 ・集客開始(1か月~1.5カ月)
 ・イベント当日

集客にどの程度時間を残しておくかが必要です。募集時期が早すぎると、参加の歩留まりが悪くなり、直前過ぎる場合は予定の都合が合わないということもあり、1か月~1.5カ月程度が理想です。

◇このセクションで決めること
 ・全体の大枠の流れと締め切り
 ・協賛各社のタイトルや講演者情報などの締め切り
 ・集客開始日の目標

⑤実施日、開始時間を決める

セミナーに参加しやすい曜日というのは、業種や時期によってまちまちですが、水曜日の午後や、金曜日の午後というのが非常に多いです。月末月初や、月曜日は突発的な仕事なので参加の歩留まりが悪くなりがちなので避けるようにしています。

また、実施時間ですが、一般的な会場に足を運んでのセミナーの場合、参加者自身が目的をもって、時間をかけてきてくれます。会場の雰囲気などもあり、集中して参加しやすい傾向があるのですが、ウェビナーの場合、ほんの少しの興味でも参加ができるので、参加者数が増えやすい反面、長いセミナーなどは聞く側が集中できません

ウェブセミナーの立て付けのオススメ
 ・セッションごと(30分~50分毎に5分程度)のブレイクを入れる
 ・1セミナー当りの時間を短くする(1時間~2時間程度)

イベント後など実施するアンケートも工夫します。参加者が参加しやすいよう、スマホやPCから簡単に回答できるようにするだけではなく、ウェビナー自体が長い場合、途中離脱されてしまいアンケートの回答率が下がります

あと、時期は大事です。企画の内容をどのタイミングで打つべきかというのは非常に重要視しておいた方がよいでしょう。総務部門を集める際に、株主総会の多い5月~6月を外すようにしたり、営業支援系のソリューションであれば年度末、四半期末は外した方がいいですね。今まさに"テレワーク"や"リモートワーク"といったワードは、まさに今、旬です。

⑥セミナータイトルを考える

セミナーの集客は、タイトルと、協賛企業の座組で半分ぐらい決まるのではないかと思います。

・参加してほしい層にマッチしたタイトルか?をわかるように
 例)○「総務イノベーション大会 ~新しいオフィスの形~」
 例)○「初心者歓迎、Salesforceを社内で活用しよう【営業編】」


・何の悩みや課題を解決してくれる(してくれそう)なのか?を具体的に
例)○「テレワークのコミュニケーション課題を、ルールとツールで解決」
例)○「できる!オフィス移転、フリーアドレスなんて怖くない!」

・具体的に、ホットなキーワードや、数値を入れる
例)○「1年で2,500社が来訪したオフィスツア―の作り方」
例)○「100人の壁を打ち砕く、組織内の対立を解消した3つのコラボレーション施策」

・露骨に製品名や、有名じゃない人の固有名詞を入れない。
 ただ、逆にホットな製品名、会社名は効果あり!

例)×「マーケティングの北村が語る、連絡とれるくんセミナー」
例)○「Microsoft Teamsの利用を上げる、社内の進め方」

⑦アジェンダを決める

ここは毎回悩みます。ウェビナーの場合は1コンテンツ当りの時間は、30分~40分ぐらいにしておいた方が良いです。長すぎるセッションは、参加者の集中力が持たないこともあり、コンテンツ力が非常に必要になります。

また、一般的に会場で開催するセミナーの場合質疑応答は、全く出ないか、たくさん出るかに分かれます。これらは、セミナーの集まってきている人の具体的課題があるかどうかに左右されます。QAについては、セッション都度取るのではなく、チャットなどでセッション中も自由にQAできるような仕掛けがいいですね。QA時間は、発表時間はそのQAを見ながら回答するという形。

◇アジェンダ案(120min)
 ・オープニング&アイスブレイク(10min)
 ・本編①&QA(30min)
 ・休憩(5min)
 ・本編②&QA(30min)
 ・休憩(5min)
 ・本編③&QA(30min)
 ・アンケート、QA(5min)
 ・クロージング(5min)

一般的に、イベント開始のオープニングは主催者の挨拶と概要説明が多いですが、リモートということもあり、参加者の参加準備時間を少し設けるとよいかと思います。音が聞こえていなかったり、開始時間直後に参加すると、本編に入っており、ちょっとだけ取り遅れた感が残ります。

アイスブレイクなどでは、リアルタイムの投票機能などを活用して、参加者全体が同調するような質問との結果などを公開したりするのもよいでしょう。

セッションごとには予備時間を考慮した休憩を設けましょう。QAは都度行う形でも、最後に行う形でもよいですが、時間が許せば都度の方がリアルタイム性があっていいですね。

参加後にアンケートを記載していただくものですと、未回答のまま終了することも多いです。ですので、セッションの中にアンケート回答できる時間を設けて、最後にクロージングとすると、少し回答率が上がります。また、講演資料などの情報提供と引き換えに、アンケート回答を依頼するのもよいでしょう。

⑧配信プラットフォームを決める

通常のイベントと大きく異なるのは、ウェビナーを開催するプラットフォームを決める必要があります。代表的なツールとして下記のものがあります。

 1.Cisco Webex Event
 2.Microsoft Teams ライブイベント
 3.Zoom ビデオウェビナー
 4.  Youtube Live、Facebook Liveなど

Webex/Teams/Zoomにおいては、ビデオ会議で利用されているサービスとは別にイベント用に特化したモード(オプション)がありまして、そちら活用できます。

特徴としては、参加者のミュートや、カメラON/OFFが管理できたり、事前登録フォームの作成や、リマインダー送付昨日、パネリストと参加者を区別して、参加者同士の名前を表示させなかったり、投票などのインタラクティブな機能を備えています。100名~の参加が可能ではありますが、WebexとZoomにおいてはオプションの契約が必要です。

Web会議などで利用するプラットフォームでもセミナーは可能ですが、参加者同士の名前が出たり、ミュートの管理、参加者の把握が出来なかったりするため、参加者同士に面識がなく、10名を超えるような場合には、イベントに特化したプラットフォームを利用されることをオススメします。

また、Youtube LiveやFacebook Liveについては、ストリーミング配信のため大規模の配信には向いており、ストリーミング配信するためのソフトウエアやプラットフォーム自体も利用は無料で利用可能です。但し、配信に際して、多少専門的なスキルを必要とし、参加者情報の管理が難しいことや、30秒程度の遅延もあるため、使い分けが必要です。また、複数のパネリストがリモートで参加する場合、それらをつなぐためのプラットフォームが必要となるため、Webex/Teams/Zoomなどと組み合わせて利用されることが多いです。

こちらについては、次のnoteでもどのようなことが出来るかまとめてご紹介します。ですので、フォローをしていただければ幸いです。

⑨発表タイトルを決める

各アジェンダごとにタイトルを決める必要があります。こちらも、イベントタイトル同様、興味をそそるものである必要がありますが、もう一つ、発表者の所属、肩書、そして顔写真も用意しておきましょう。

ちょっとした自己紹介もあっていいかもしれません。重要なのは、参加者の共感を得られたり、参加者が話を聞いてみたい!と思うような書き方がいいですね。例えば、同じ職種や、同じ課題を持っていてそれを解決した。とか、業界は違うものの市場に大きな影響力をもたらせた人。書き方次第ですね。

このセクションで決めること
 ・講演のタイトル、講演者の情報(肩書、名前、自己紹介)
 ・講演者の顔写真
  ・講演内容のリード文やサブタイトル

⑩申し込みページを作る

自社で保有するMAツールや自社のWebサイトに登録フォームを作りましょうMicrosoft FormやGoogle Formでも作れます。その際、前述で決めた、日時、時間、参加対象となる人、アジェンダ、協賛企業はしっかり載せ、みんなが知っている企業も共催される場合はロゴも掲載しましょう。

イベントのバナーは、この先で集客する際に必要なので、わかりやすいものを作っておくことをオススメします。クリエイティブを作ることが難しい場合は、Canvaというフリーのサイトを使って作ることもできます。
(今日のnoteの見出しもcanvaを使って作ってみました)

Canva  https://www.canva.com/

申込サイトを作る際の注意点として、
 ・申し込みしやすいシンプルな設計にすること
 ・あまり細かい個人情報を聞きすぎないこと
 ・プライバシーポリシーを明記すること(必要に応じて協賛各社分全部)
 ・どこでイベントを知ったか聞いておくこと

セミナー告知を外部に任せる場合は、Facebookイベントページや、Peatix、Compassなどのプラットフォームも使えます。ただ注意点としては、興味本位で参加する人も多いため、本来聞いてほしい人ではない人の流入もあります。また、Facebookなどでは匿名での参加もしやすいので、リード創出がメインの場合はその後のフォローが難しいです。イベントの目的に応じて使い分けが必要です。

また、申し込みフォームは簡単な方が入力しやすいです。会社名、所属、名前、電話番号、メール、流入ソース。このぐらいで十分ではないでしょうか。もし、イベントに特化して設問を増やす必要があれば、1~2個ぐらいです。

プライバシーポリシーについては、個人情報を収集するフォームについてはすべて明記しましょう。また、その申し込み状況を協賛各社で共有したりする場合は、その旨の明記と、協賛各社のプライバシーポリシーも合せて明記する方が良いです。トラブル防止のために、これは必ず確認しましょう。

NGな例として、郵便番号、住所、ファックス、従業員数など、事細かく入力するイベントがあります。ネットで調べればでてきますよね。

発表タイトルは、申し込みページ公開前に準備しておく必要があります。申し込みページは、これより先に着手しておいて、全てが揃ってから公開するというのが理想です。

申し込み後は、受講票を自動的に送るか、それとも応募者多数を考慮して、直前で受講票を送るのか決めておきましょう。

募集のタイミングでは、ウェビナープラットフォームが確定していないことも多いので、申し込み直後に「申し込み完了案内」と、開催直前に「受講案内(ウェビナーの参加方法が記載)」の2つに分けて送るのがいいですね。

⑪公開&集客

集客については、各社のそれぞれの方法で集客ができると思いますが、代表的な集客手法としては、下記の方法があります。

◇代表的な集客手法
・Web/SNSへの掲載による流入
・メルマガやイベント案内をメールで送付
・提案中顧客への営業から直接案内
・紙ダイレクトメールの送付
・電話/FAXなどでの案内
・デジタル広告出稿による集客

イベントの内容や、集めるターゲットにより効果は異なりますが、1社だけでの集客は結構苦戦します。協賛各社の持っているリスト(見込み顧客)へ対してアプローチし、ターゲットすべき母数を増やすことが一番大事ですね。

集客の目標数については、各社でKPIを設定するのをオススメします。60人集めたいイベントの場合は、歩留まりを考慮し90名集め、3社共催の場合は30社ずつの集客をしましょう。
※申し込みフォームでリードソースを聞いておくと測定できます。

ウェビナーの場合は、会場で開催するのに比べ比較的集客しやすい傾向にあります。これは、在宅ワークが増えていることもあり、情報収集にかける時間が多くあったのかと推測されます。逆に、当日欠席も多いです

今までは、移動時間も含め、予定としてスケジュールしていたイベントも、隙間時間を見つけて参加しようという考え方もあるため、業務等の都合でイベントの参加の優先順位を下げられてしまうこともあります。

そのため、少し多めに目標は設定しておいた方がいいですね。

また、イベントは、営業ツールの一つとしても使えます。対面での商談が難しい中、フィールド営業がウェビナーを案内するというのも効果的です。

申し込み開始後、1週間ごとに申し込み状況を見て、流入経路などから、追加の広報が必要かなど協賛各社でシェアしながら、告知範囲を広げていきましょう。

ここまでで、やっとイベントの企画~イベントの公開までたどり着きましたね。

さいごに(続く)

さて、いかがでしたでしょうか。ここまで11項目に分けてウェビナー開催の準備に向けた手順をご案内いたしました。次回は、実際に開催する前のリハーサルから、実施までの手順とTIPSをご案内します。ですので、是非私のnoteのフォローをお願いします^^


一緒にウェビナーやろうよ!という企業のマーケや広報の方、是非ご連絡お待ちしています。



株式会社Phone Appli https://phoneappli.net/