ボイステックに関する思案(Voicy、AirPods、Spotify)

今更のことだが、スマホにSpotifyをインストールした。

いわゆる音楽系のサブスクリプション(サブスク)サービスと言われるもの。


私は実のところまだ課金してないが、無料の範囲でも十分過ぎる楽曲やポッドキャストが提供されており、日々の「音」探しに活躍しそうな予感がある。



視覚の拡張としてARやVRを使った色んな製品やサービスが出てきた。

ゲームなどのエンタメ分野で使われているイメージが強いが、医療現場などの高度な技術を習得するためのデモンストレーションとして使うような場合もあるという。

VRでもARでもないけど、遠方から引っ越す場合に、Zoomで内見するなんてこともあるみたいだ。(知人の体験談)



じゃあ聴覚の拡張は?と言われても、なかなかピンと来るものがない。

個人的にはそんなふうに思っていたが、そんなことはないようで。



それが、AirPodsに代表されるワイヤレスイヤホンだ。

ワイヤレスイヤホンが広がったことは、デバイスの進化としてのみならず、我々の生活へ与えるインパクトが大きかったのではないか?というコメントを、先日Voicyの社長・緒方氏の著書『ボイステック革命』を読んでいて見つけた。



これ、生活者視点だと結構目から鱗で。


著者曰く、クラブハウスはボイステック(Voice × Technology)の拡大の起爆剤になったと言っているし(Voicyの方が何年も前から事業展開していて、一見、競合の後塵を拝したようにうつる)、競合にどう立ち向かうかという視点ではなく、社会環境がどのように変わってきていて、自社サービスはこういうポジション取りで戦っていてくという根っこの強さみたいなものを感じた一冊だった。



で、ワイヤレスイヤホンの何がすごいって、単純に見た目がクールとかそういう話ではなくて、今まで当たり前のように音を持ち運ぶ時は有線を使っていた生活者が、無線(ワイヤレス)化することで、どこにでも音を持ち運べるようになるということ。


ワイヤレススピーカー自体はワイヤレスイヤホンが出る前からあったけど、主に音楽を好きな人が気軽に自宅でも良い音を楽しみたいからとか、ダンスとかやるような人がスマホからじゃなくスピーカーから音源を流して練習したいみたいな、コアな人向けのニーズだった。


有線イヤホンにしても、高いイヤホン=音質が良いというのが売りだったし、スポーツ用なら耳から落ちづらい形のデザインにしたりといった工夫にとどまっていた。


有線の欠点は随分前から言われていた。

・断線する

・コードが絡まる

・かさばる


これらを全て解決したのが「ワイヤレスイヤホン」だ。

断線するための線がほとんどないし、コードも絡まらない。今までぐるぐる束ねていたものも、小さなアクセサリーと同じくらいの感覚で収入できるようになった。




ただ、重要なのはそこではなく。

技術の発展の先に見える利便性の気づき→行動の変化だ。



電話は耳に当てて会話するものだと思っていたのに、誰が画面越しに相手の顔を見ながら、しかも「出先」で会話ができると考えるだろうか。

電話という物体がなくても、常にワイヤレスイヤホンをスマホとペアリングしておけば、コントローラひとつで通話することができるようになる。


通勤だって(通勤や遠距離移動自体は減ったけど)、いちいちイヤホンを装着したりカバンにしまう必要も、自分のコードが誰かの荷物に引っかかるようなヒヤリハットも経験しないで済む。


あるいは、マイクも搭載されている場合は、それを通じて自身の声を届けることだってできる。



先日書いたキャッシュレス決済の話じゃないけど、これまでがいかに面倒だったか?そしてそれがどれだけ楽になるのかを理解した時、後戻りする人は何か特別な理由がない限りいないだろう。



緒方氏としては、Voicyが発展するということは、同じようなビジネスを起こす競合が増えるということでもある一方で、聴覚を通じた情報提供・ビジネスが旬であるという理解をしていて、そこなら負けないと思っているということなのだろう。

視野が広い。



自分の所有物ではなく、誰かとシェアすることでコストを抑えるシェアリングエコノミーという概念もありつつ、自分だけの所有物・自分だけの時間、そういった自分好みの生活スタイルをデザインできる社会になりつつある。

そんなふうに感じている。



そしてまたまた私のブランド論を(笑)

まだ開拓されていない/市場の当たり前になりきれていない市場では、プロダクトを市場に送り出すことに加えて、オピニオン・リーダーとして声を上げ続けるという姿勢が重要なのだということ。

私の新しい職場で扱うプロダクトも結構近いところがあって、リリースを定期的に出すみたいなテクニック的な話もありつつ、そういう「社会変えてくんだぜ」みたいな姿勢が伝わる事業展開をいかに続けられるかという根気勝負みたいなところもあるように思う。


個人的には、「SDGs指標を意識したビジネスに取り組みます」という会社よりも、「その価値観ぶっ壊さん?」みたいな方がおもろと感じる。

(投資を受けやすい会社というのが悪いとは思わない。むしろ、営業やってる身としては投資されている≒儲かってそうな会社という理解もしやすいので。)



便利を機能面だけで評価するだけでなく、それによる価値観の変容も見ていくのが楽しい。


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