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2021年に読んでよかったPM本5冊

前記事 では,今年読んでよかった本を 10 冊紹介しました.前回は触れませんでしたが,プロダクトマネジメントに関する本も結構読んだので,その中から特によかった 5 冊をまとめてみようと思います.

Cracking the PM Career

Cracking the PM Interview (邦訳: 世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本) の著者の続編です.500 ページを超えるボリュームで,PM において必要なスキルやフレームワークが幅広くカバーされています.

例えば以下のようなトピックについてまとめられています.自分は最近は,何か確認したい時にひとまずこの本を開き,辞書のように使っています.

Product Skills - ユーザリサーチ,ABテスト,システム思考,仕様書
Execution Skills - アジャイル,MVP,ローンチ,タイムマネジメント
Strategic Skills - プロダクトビジョン,戦略,ロードマップ,OKR
Leadership Skills - グロースマインドセット,権威に頼らない影響力
People Management Skills - レビュー,コーチング,採用面接,組織体制

また,本書の後半では PM のキャリアパスについて書かれており,PM から別のキャリア (CEO, CPO, VC, Government など) に移った人へのインタビューの部分が読み物として特に面白かったです.

Product Management's Sacred Seven

プロダクトデザイン,エコノミクス,心理学,UX,データサイエンス,法律 & ポリシー,マーケティング & グロース の 7 つの分野について,理論や知識,最新の事例がぎっしりと (650 ページ!) まとめられています.

FAANG をはじめとするグローバル企業 52 社の PM や HM に,一流の PM とその他大勢の PM とを画する知識やスキルが何なのかについてインタビューしたところ,これら 7 つの分野に落とし込まれたようです.

個人的にはエコノミクスと法律 & ポリシーが特に勉強になりました.エコノミクスは Moat やセグメンテーションの考え方など,法律 & ポリシーはアンチトラストやギグ・エコノミーの事例などがそれぞれまとめられていました.

前著の Swipe to Unlock も,テクノロジーやビジネス戦略に関する最近の興味深い事例が網羅されていておすすめです.こちらは以前まとめました.

Working Backwards

創業期の Amazon に入社し,VP として Kindle や Amazon Prime をはじめとする数々のプロダクトを成功に導いてきた 2 人が,具体的にどのような仕組みを作ってそれらを成し遂げてきたのかを記した著書です.仕組みとしては以下のようなものが挙げられています.

・ミーティングではパワポではなく 6-pager (ナラティブ) や PRFAQ を使う
・Bar Raiser と呼ばれる強い権限を持つ人が採用プロセスに入る
・制御可能なインプットメトリクスにフォーカスする
・チームやマネージャーは 1 つのことにフォーカスする
・給料の一部を RSU (株式) で支払うことで,長期目線での意思決定を促す

これらは Amazon で働いているとどれも当たり前のように浸透しているプロセスですが,それらのプロセスが生まれた背景のストーリーは知らないものもあり学びになりました.Jeff Bezos の有名な言葉に Good intention doesn't work. Only mechanism works. というものがありますが,Amazon がこの規模になっても成長を続けられているのは,これらの仕組みがまさにうまくワークしているからだと思います.

Product Sense

本書では,PM として最も本質的な問題 WSB (What should we build and why?) にどのようにアプローチするかについて書かれています.以下の空欄を最後から順番に埋めていくように各章が進んでいきます.

We are building [Solution] in order to solve [Pain Point] for [Persona]. This is important for the business because [Strategic Theme] which relates to our [Vision], and will be measured by [North Star Metric].

「最後から順番に」 というのは,いきなり Solution に飛びつくのではなく抽象度の高いものから順に考えていくべきという意味合いが込められています.

また,Compass Framework というフレームワークも紹介されており,プロダクト関連のケース問題に対して構造化された解答を得るのに役立ちます.

EMPOWERED

プロダクトマネジメントの名著 INSPIRED の著者 Marty Cagan の続編です.今年 6 月に 邦訳 も出ています.

INSPIRED では,Valuable / Usable / Feasible / Viable なプロダクトを作るための考え方やテクニックがまとめられていましたが,EMPOWERED では,そのようなプロダクトを作るための プロダクトチームやリーダーシップのあり方 にフォーカスされています.

以下の 2 つの考え方が特に重要で,本書で何度も語られていました.

・プロダクトチームには機能ではなく解くべき課題が割り当てるべきである
・プロダクトチームにはローンチした機能ではなくビジネス結果に責任を持たせるべきである

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