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朋有り、遠方より来る

友人がふらっと店にやってきた。10数年ぶりに会うわけで、何の前触れもなく、何の心の準備もなかったが、ああ、私たちは大人になったのだな、と感じた。高校生だったのも30歳にもなると、広い世界に出でそれなりに研ぎ澄まされ、それなりに角が取れ、器が大きくなる。

話をしていると、高校生の時とは違う視点から、それでも似た感覚を今の現状について、持っているということがわかる。夢や憧れの世界が現実になり、その審美眼で冷静に見たときに感じる違和感。魔法が融けたのではなく、レンズを磨き、曇りがなくなったのだと思った。

「朋有り、遠方より来る。亦た楽しからずや。」

高校で習った論語が思い出された。孔子の言葉だったと思う。あの時は想像でしか持てなかった感覚が、今こうしてわかる。

きっと昔の自分だったら言えなかったかもしれない「頑張れ」という言葉を、今日はすんなりとかけることができた。今思い返せばある意味、憧れていたのかもしれない、僻んでいたのかもしれない彼に対して、心からエールを送れるようになった自分がいる。

きっとこのドアを開けるのに、それなりの勇気が要っただろうな、と帰っていく背中を見送りながら思う。
本当に、本当に頑張ってほしい。

20240419

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