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個性ってなんだろう?歌に必要な個性の作り方講座!

ヴォイストレーナーを18年やっている間には、歌手を目指している生徒もたくさん教えてきましたが、皆さん歌の身体、技を磨くことはもちろんのこと、個性を出すことにも悩んでいました。
僕は、
「寝ずに吐くほど悩みなさい」
と、優しく指導したものです。(笑)

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個性という言葉を辞書で調べると、
《他の人とちがった、その人特有の性質・性格。個人の特性。》
と出てきます。
この言葉だけ見ると、
「そうか!他の人が絶対にやらないような、人と違うことをすればいいのか!!」
と、突拍子もないことをはじめる人もいるかもしれません。
昨今のバカッターや過激なことをやるYoutuberは、他とは違う個性を追い求め過ぎた結果かもしれませんね。

今日は、個性について考え、個性を育む方法を一緒に考えていきましょう!

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個性の作り方1・他人のプラスになるかを考える

いきなり道徳の授業みたいになりましたが、これは、
「自分の持っているもの(面白いアイデアや優れた身体的特徴)に対し、人様が喜んでくださるか否かを客観的に考える」
ということです。
寿司ネタをゴミ箱に放り込んだり、仕事中に丸出しの下半身をお盆で隠したり・・それは絶対人には真似できないことだと言えるでしょうが、それを誰が喜ぶでしょうか?
どんなに斬新なアイデアでも行動でも、それを個性と呼ぶわけにはいきません。

歌で考えると、誰にも出せない声であると同時に聴いている人にプラスの感情を与えられるかどうかが、個性的な歌かどうかの分かれ目です。
松任谷由実さんにも桑田佳祐さんにも、竹原ピストルさんにも米津玄師さんにも当てはまりませんか?
皆さん、素晴らしい声の持ち主である(優れた身体的特徴がある)と同時に、作詞作曲もこなし(面白いアイデア)、聴衆にプラスの感情をもたらすパワーの塊なのです。

ただ、声だけでプラスの感情を作るのは難しいと思います。
誰にも出せない声だけで良いなら、ジャイアンだって今頃ビックアーティストです。
一流のプロは誰にも出せない声を持ち、かつ聴衆にプラスの感情をもたらし、さらにそれを表現するための卓越された技術があります。
鶏が先か、卵が先か、個性が先か、技術が先か。
私たちは、どちらも同時進行で磨き続け、生み出さなければならないということですね。

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個性の作り方2・憧れの人をTTM!

さてさて。
誰にも出せない声や歌い方は、どのように作れば良いのでしょうか?
僕は、TTMという方法をオススメします。
TTMとは「徹底(T)的(T)にモノマネ(M)」のこと。
憧れのYouTuberさんのようになりたければ、その人の動画を徹底的にモノマネして、字幕の入れ方や効果音の使い方、撮影技術を模倣しましょう。
憧れの作家さんのようになりたければ、その人の作品を全〜部読んで、段落の取り方、見出しの付け方、言葉使いまでも真似して文章を書いてみましょう。

全ては模倣から始まり、模倣から学べます。
歌に置き換えると、尊敬している大好きなアーティストの曲を、歌い回しから声音、発音からクセまで、全て徹底的にモノマネするのです。
・音源と一緒に歌ったら、タイミングも音程もニュアンスも何もかもがピッタリ合う。
・カラオケでは、そのアーティストの曲を歌わせたら右に出る者はいない。
・イントロボンで曲が1秒でも流れたら、タイトルがパッと分かり、すぐさま歌詞なしで歌える。
くらいまでアーティスト通、アーティストオタクになれば、体内にそのアーティストさんを取り込めたということになります。

大事なことは、とにかく徹底的にやることです!

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個性の作り方3・TTM+TTM+・・でブレンドする

真似は厳禁じゃないの?と思うのは、実は個性を作る上での落とし穴。
どのアーティストであっても、誰かしらに影響を受け、なんらかの真似をし、色んな物を足し算して、技術で掛け算して、個性を表に出しているのです。

例えば、B'zをTTMをしたとします。
もうB'zならどの曲も稲葉さんばりに歌えるようになり、歌回しさえも誰が聴いてもソックリです。
ただ、これをこのまま自分の曲に出したら、B'zにそっくりだね、B'zのパクリなの?と言われるでしょう。

では、B’zに加えて、ドリカムもTTMしたとします。
もうドリカムならどの曲も吉田美和さんばりに歌えるようになり、歌回しさえも誰が聴いてもソックリです。
そうすると、B'z+ドリカムでブレンドされるので、聴いている人も、
「ああ、なんかB・・いや?ドリ・・・うーん?・・なーんかどこかで聴いたことがあるような歌い方だけれど、特徴があるね〜。」
くらいにはなります。
TTMの足し算をすればするほどブレンドが複雑になり、他の人にはない自分だけの声や歌い方へと昇華できるのです。

コーヒーと同じ原理なんです。
色んな豆をブレンドし、身体というフィルターを通して、お客様に美味しい歌を届ける。
これは上手い(旨い)!と言わせられたら、そこから商売になります。

100人いて、100人とも同じアーティストをTTMするというのは、この現代では考えられません。
ありとあらゆる音楽ツールが発展していて、星の数ほど歌手がいるのですから。
そう考えると、個性は作りやすい時代とも言えます。
TTMをするのは、とても根気と練習量が必要です。
大変な作業ではありますが、先にも述べた技術を培う時間にもなりますので、一石二鳥です。

そして、自分のブレンドしたTTMは、(僕は)絶対に内緒です。
ショップのコーヒーしかり、人気ラーメン店のスープしかり、そのブレンドは企業秘密でしょう?
自分が大いに影響を受けてTTMしたものは、少なからず作曲や作詞、もっと言えば生き方にまで滲み出てきます。
せっかく長年かけて苦労して作った個性に、先入観を持たれたら困るもの。(笑)
だから、ブレンドは秘密です。

ほんじつのまとめ

今回は、個性を作る方法を考えていきました。
個性とは、究極「その人が死んだら無くなってしまい世の中が困るもの」です。
生まれ持って天才的能力だったり、美声だという方もいらっしゃるでしょうが、基本は自分で探し出し、考えだし、作りだし、技術を磨いた結果が個性なのだと思います。

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