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大好きなひと C

Cはもはや、家族だ。

中学で一緒にテニスをやり、毎日一緒に帰った。
一緒にいるのに鼻歌を歌い出す彼女のことが、時々意味わからんと思っていた。
約束すると遅刻したりドタキャンしたり、その度に怒ったし「連絡だけはして」と何度も言った。

私の学校のテニス部は、前衛後衛を最初に先生が決める。
私たちは前衛だった。一緒に練習はするけど、絶対にペアになれなかった。

3年生になるとき、先生が「後衛を増やす、やりたい人はいるか?」と言った。

私は即座に手を挙げた。
身長があるから前衛になったんだろうけど、私は後ろにいるときの方が活躍していたから、ずっと後衛になりたかった。

残りのほんの数ヶ月、今まで親しんだポディションを変えたい人など他におらず、あっさり私は後衛になり、絶対一緒になれないはずだった、Cとペアになった。


特別強くも弱くもない学校の
特別強くも弱くもない私たち。

最後の試合は、接戦で、確か逆転負けした。

そこそこ頑張ってそこそこ悲しくてそこそこ青春な思い出。
そこそこだけど、彼女とこんなに長い付き合いになるとは思っていなかった。

彼女は私のこと「面白い面白い」って好いてくれて、私も好きだけどイライラすることも多い、そして喧嘩もする珍しい友達だった。

土日の部活帰りには、よくポンデリングを食べてた。
私が熱で1週間休んだ時も、お見舞いはポンデリングだった。

ポンデリングの友達は、今や家族だと思う仲。人生って不思議。


私は二十歳前後のとき、彼女に酷く嫉妬していた。
可愛くて、誰とでも仲良くできて、彼氏ができれば両親とまで即座に仲良くなる。
親ウケ抜群。私の両親も彼女が大好きだ。

私はというと、彼氏の家で家族と食事をしたときに「私は家族で食事する習慣がない」ということに気づいた。なんせ6人家族。3人でテーブルを囲むことすら珍しい。いつも1人でテレビを見ながら食べていた。

我が家ならテレビがついて無言でも気にならない食事が、彼の家だと狭いテーブルで彼の両親と彼と私。

何を話せばいいの?話してると食べれないじゃん?

喉が乾いても飲み物を取ってほしいとも言えず、空気が読めないことで有名な彼(酷いな、ごめん)は私が気を遣いまくっていることにも気づかない。

苦痛だった。


Cだったら、この中でも自分から話を振ってみんなを楽しませるんだろうなと想像がついて、羨ましかった。

そんな風に比べてた時期は、彼女と会うと劣等感ばかりで、たまにしか会わなかった。

「彼氏ができると会わなくなる子」っていう典型的な子で、彼氏がいないときは連絡が多く、彼氏ができると連絡がなくなる。

都合いいなぁと、思っていた。正直。


それでも会えば楽しいし、同じ大学でもなく、ちょうどいい距離だからお互いの誕生日は毎年祝って、会う頻度はバラバラでも仲良しだった。

いつから、かけがえのない1人になったのだろう。


ある日突然「もう会わない」と連絡が来て会えなくなった。
前後の記憶は私にはないけど、なぜなのかはわからなかった。

連絡しても返ってこない。
住んでる場所も、引っ越したばかりでわからない。

どうにか会える手段を探したけど、見つからなくて「私はあなたが大事だし、いつになってもいいから会いたい」と連絡を入れて、3ヶ月くらいだったかな。


「ぴいちゃん、ごめんね。会いたい」
と、突然連絡が来た。


即座に会いに行き、喧嘩もしてないのに仲直りという、よくわからない感じだったけど、彼女はメンタルの状態が相当ヤバかったようで。

その時に色々話して、彼女も私のことが羨ましいとずっと思っていたと聞いた。
人って、ないものねだりなんだなぁと思った瞬間。

私も中学よりは大人になったし、付き合う子みんな遅刻魔なので遅刻にもイライラすることもなくなった。今や私も遅刻魔……

彼女もちゃんと連絡するし、お互い未熟だった所を知ってるから「大人になったよね」と言い合える。



いつからか、写真を撮るとそっくりで「双子みたい」と周りにもよく言われた。
しかし実物は決して似ていない(と思う)。
顔の造りも雰囲気も違うのに、写真を撮るとそっくり過ぎて爆笑する私たち。

やっぱり、いつの間にか家族になったのだと思う。


彼女の良さをもうちょっと書きたかったのになんだか上手く書けなかったので、去年彼女の結婚式で友人代表として書いたお手紙の一部を書いて締めくくろうと思う。

私がCに心から救われたことってたくさんあるんだけど、その中の1つ、振り返らせてください。

私が小学校教員に採用されたとき、苦しくなってすぐに辞めて、1ヶ月引きこもって。その話をCにしたとき、ただただ一緒に泣いてくれたよね。私の辛さを想像して、感じてくれて、自分のことのように泣くCに、凄く救われた。純粋に泣けることにも感動したし、悲しみって本当に半分になるんだなって思った。あの日から私は、Cと同じようにめちゃくちゃ涙もろくなりました。

私は、ただ側にいて寄り添うという優しさをCから教わったんだよ。本当にありがとう。


あー………好きだなあ(笑)
そんな彼女は今一児の母。まだ、その子がお腹の中にいて名前に迷っていたときに「この名前ってどんな意味?」と聞かれて鑑定したその名前が、今、その子の名前になっているのも、やっぱり私も家族になったみたいな、不思議な感覚。

あぁ、またいくらでも話せそうなので、また書く。今日は終わり!笑

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