見出し画像

私のサイドブレーキは引いたままだった①

「それって辛くないですか」
と元同僚に言われたあの瞬間、気づいた。

「私、辛い」と。

そして次の日から、入社して僅か1ヶ月の仕事に行けなくなった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最初に断りを入れますが、この話は私の解雇を通じての体験談であり、かなり暗いです。着地点も考えていませんし多分長くなります。


それでもなぜ書くかというと、私はこの経験のお陰で「当たり前」かのようにあるもの有り難さを知ったし、以前よりずっとずっと幸せ者だと思えるようになったから。
また、苦しかった頃の自分の支えになった1つが、同じように解雇の経験があっても前を向いて生きている人を見つけること。つまり私が励みになったように誰かの励みになるかもしれないと思っています。


あの頃私は病院へは行っていませんが、鬱状態であったと思います。
鬱状態は人生で2度目でしたが、1度目も2度目も引きこもっていた時間の記憶が曖昧です。
寝ては泣いて過食だったり拒食だったり、人と話した記憶もなく、1日24時間中に特別何かはしていないのに暇だとも思わない、思い出すと世界がなんとなく灰色で生きるだけで必死だったんだろうな、という感じ。

でも、私は今元気です。
約2年前、なんとなく私にできることの限界が見えた気がしたけど、このままこの仕事を結婚まで続けて、子どもを産んで、もしも転職するならその時くらいだなぁと平々凡々な未来だと思っていた。
解雇通知を出されたあの瞬間から、今まで想像もしなかったことを次々にして、今全く想像できなかった場所にいます。

100%乗り越えたかといったらそんなことはない。
深い傷は塞がっても、時々痛むし傷跡も残る。

それでも私は今幸せで、あの経験があってよかったと断言できます。



もし人生真っ暗だと思っても
家から出れなくなっても
気がつくと涙が止まらなくても
消えてしまいたいと思っても
辛い気持ちは幸せになる。

雨は止むし朝は来る。

それがほんの少しでも伝わったらいいし、私自身これまでの気持ちを大切にしたいので、この話を書きます。


「今私は元気である」という前提で読まれないと、読んでいて辛い人もいるかもしれませんので長い前置きでした。
では、話は支援員として勤めていた約2年前に移ります。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あの日「悪いけどあなたには辞めてもらいます」と解雇通知を受け取った。
理由は公には言えない。ここだけは信頼する人にしか言うつもりもない。
ただ、犯罪もしていないし誰も傷つけていない。会社の利益を被ったわけでもない。

秩序とも言われたし、私が選んだことの1つが会社の栄誉を傷つけるとも言われた。
正直、意味がわからなかった。
「自分が悪いと思ってないよね?そのまま行ったらどこに行っても大変だよ」と最後に言われた。



1年以上経った今でも、私が悪かったと思えない。



不当解雇だと思ってボイスレコーダーを用意して、社長との話は録音した。
いつでも訴えられるように。

けど、できなかった。



裏切られたと言ってもおかしくない状況でも、私は会社とそこにいる仲間が大好きだった。
自分で言うなって話だけど、みんなからも好かれていたと思う。


同僚の多くが連日社長と話をしてくれた。
過去に社長はそれは良いと言っていましたよねと、その矛盾さを指摘してくれた。

それでも最後まで、私の解雇は変わらなかった。




辞めるまでの1ヶ月は休まなかった。
仕事が好きだったから。利用者さんが好きだったから。

毎朝会社に入る直前まで、勝手に出てくる涙を拭って出勤した。
未来の話をする夕方の会議は、その未来に自分がいないという現実を突きつけられた。
その孤独に耐えられず度々早退した。

「ここに私がいても無意味だから」と思いながら。




辞める当日、利用者さんからメッセージや動画をもらった。大泣きした。
2年本気で向き合った子からの「ありがとうございました」の一言を目にしただけで涙が止まらなかった。
「あなたが1番信頼できた」と言ってくれる子もいた。


みんなには『ステップアップのために辞める』という体裁だった。

だから「頑張ってください」「あなたならどの仕事でも大丈夫」「応援してます」なんて言われて。

私も関わったみんなはより良い人生になってほしいなと願って「一生応援してます」と言った。
正確には、それを願うことしかできないと思いながら。

旗から見たらキャリアアップのための前向きな退職だからみんな笑顔。
「寂しいけど応援する」なんて言葉をかけられる度に私は心で泣きながら笑って「ありがとう」と握手をした。

何も知らない利用者さんは、笑顔で私を送り出した。


嘘ばかりのさよならは、嬉しくて、悲しくて、切ない。



本当は私が見送りたかった、みんなを。
せめて本気で支援したあの2人は、見送りたかったんだ。

仲の良い同僚達と食事した後、両手で抱えるのも大変なくらいの花束とプレゼントと仕事道具を持って笑顔で帰った。


辞めたことを「よかったこと」にするんだと、綺麗な未来を信じて。

いただいたサポートは人のケアに使える勉学に使って周りに還元させます!