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【趣味・映画の話】ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章

みなさん映画好きですか。僕はわりと好きです。

そんなわけなので昔観た、最近観た映画の感想です。

・駄作じゃない
僕は怒っている。
岸辺露伴は動かないがドラマ化されたのは記憶に新しい。
小林靖子が脚本を担当しており、演出面もピカイチであった。文句のつけようがない映像化だった。
しかしツイッターくんやユーチューブくんは意地悪で僕が悲しむ顔を見るのが好きなので、こんなサジェストを持ってくるのだ
「4部映画と違って岸辺露伴は動かない面白かった。原作を大事にしてる」
「4部映画は失敗作だったからほっとした」
「岸辺露伴は動かない?神。4部映画?ゴミ」

オーイオイオイオイオイオイオイオイ
君達ッ本ッ当ォーに4部映画を観たのかねッ!!
オタクは本当ォーに自分の好きなもんを褒めるときに他の物を貶すのが好きだからな。
確かに4部映画は100点の出来ではない。
だがかなり原作に対して真摯な作品であったと思うぞッ!!

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・実写映画に求めるもの
僕もオタクなので、原作を破壊する二次創作にはそこそこ目くじらは立てる方なんですよ。
飛影はそんなこと言わない!
まぁでも、破壊なくして創造なしとも言うじゃないですか。
漫画やアニメの実写映画でやるべきこと、それは破壊して要素を分析したあとの『再構築』にあるわけです。

そういう点では、ジョジョの奇妙な冒険ダイヤモンドは砕けない第一章は、ジョジョという作品をかなり真面目に読解した作品だと言える。
公開初日に観に行った感想だ。信じてくれ。頼む。
僕はむかしジョジョと名のつくものなら何でも飛びつくガキだったし、
なんならファントムブラッドだって観に行ったんだぞ!!
ファントムブラッドの感想?アー、ウー、また今度ね。

・バツグンの絵作り
まずほぼ全員がツッコんだであろう、「スペインロケってなんだよ」ってところ。
「仙台で撮れよ」ってのもわかる。わかるよ。
しかし『スペインに作った杜王町』これが画作りとしてバッチリマッチしてる。
ジョジョの印象的な部分はやはりまずその洋画的な絵柄にあると思うわけです。
そもそも荒木先生のタッチで描かれる日本って、日本のそれじゃないわけです。
どこか異国の雰囲気が漂う空間なわけですよ。
その空気感を再現するためにスペイン・シッチェスでのロケを敢行したわけです。多分。
いやまぁ、せっかくなんだからもっと開けたところを映してくれとか、康一くんの通学路統一感ねえなとか思ったりはしたけども。

キャラクターのメインビジュアルが公開されたときは「またコスプレかぁ」と思ったりもしたもんですが、
これもまた映像として見たときにはバッチリハマって見えるんだから驚いたよね。
虹村兄弟なんか抜群ですよ。特に新田真剣佑。すごいよ、完全に億泰だもん。
逆に微妙に感じたのは……伊勢谷友介の承太郎かな。

また、スタンド能力の映像描写に関しては想定してた及第点のはるか上を行ってました。
喩えるなら『スピーディーな残像』です。
必要な場面でスンッと出てきて、ドンドンッと攻撃をするクレイジー・ダイヤモンドの確かな爽快感。
特にバッド・カンパニー戦は言うことなしですよ。100点だよ100点。

・『受け継ぐ物語』としてのジョジョ
シナリオ面でも、この映画はかなりジョジョという作品を丁寧に再構築していると言える。
よく4部は明るい!とか楽しい!イメージが先行してるんだけど、
この映画で描かれる虹村兄弟編までの4部って、どっちかっていうと少し陰鬱で悲しい物語なんだよね。

だから、この映画は映像的にも物語的にも全体的に暗いチューンナップを施してある。
でもこの映画には確かにジョジョとしての矜持がある。
それは『受け継がれる精神の物語』だ。

この映画では仗助の爺ちゃんの出番が大幅に増えている。
町を愛し町に愛される、『町を守る男』としての祖父の死、
祖父が生前追っていた杉本鈴美(!)一家殺人犯の記事、
アンジェロとの因縁、そして形見の壊れた腕時計。
原作にも「おれがこの町とおふくろを守りますよ」という仗助の台詞があるのだが、
このシーンが映画の最後に持ってこられているのが最高だった。
併せて、壊れた時計を能力で直して腕に巻いていることで『止まっていた時が動き出した』こと、祖父の意志を受け継いだことが表現されている。
また、『止まっていた時が動き出した』ことで、第二章移行で(撮影できていれば)描かれるであろう吉良吉影捜索への繋ぎとなっていたのだろう。
もう第二章作られないけどね。嘘だろ承太郎……。

・演技
全体的にセリフが冗長に感じるのは少なくないマイナスポイントだと思う。
特に動きがある戦闘中だと、動きと動きの間にダラダラ喋ってるように感じてしまう。
漫画のセリフは可読秒数わずか2,3秒だが、俳優は口で喋らんといかんからね。
でもジョジョの魅力の一つに、特徴的なセリフ回しがある。削れねーよなぁ。削れねーよ。

この点に関して『岸辺露伴は動かない』は伝奇ミステリー的作品であるため、
セリフの魅せ方という点ではかなりやりやすい作品だったのではと個人的には思う。
『富豪村』のマナーバトルのシーンとかめちゃくちゃ緊迫感出てたもんな。

では俳優の演技はしょぼかったのかというと、全然そんな事はない。
山田孝之演じる凶悪脱獄犯・片桐安十郎(アンジェロ)の危険な空気感は見ていてワクワクするものがあった。
俺が観る映画に出てくる山田孝之、変態とか下に関係した役ばっかだな。そんなことないか。
岡田将生が演じる虹村形兆も、原作よりも小綺麗ではあるものの、独特の味のある黒幕としての存在感を醸し出していた。
そして新田真剣佑の演じる億泰、もうこれ億泰だろ。明日から新田真剣佑、億泰な。

伊勢谷友介の承太郎のことは忘れろ

・原作再現か、再構築か
原作再現は確かに原作を尊重したものではあるのだが、時にはそれは映像化における『逃げ』とも捉えられてしまうことがある。
だから僕は映像化において原作と違うことをやろうとする監督やスタッフの試みは応援したい。
OVAジョジョの『DIOの世界』とか、最高やん。
原作の『受け継ぐ』『繋ぐ』モチーフをきちんと再解釈して映像化しているこの『映画ジョジョ』。
ネトフリで観れるからみんな観て。お願い。
ネトフリならジョジョのアニメも、岸辺露伴は動かないのOVAも観れるぞ。


ご支援いただけると。僕が超喜びます。

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