好きで、馬鹿になるだけ
ずっとずっと大好きなアーティストがいる。
誰かを想うときも、迷いに迷って夜の公園で座りこんだときも、また同じ人間のまま迎える気がした誕生日も、違う道に地図持たないで進んだときも。
ずっとずっと。
部屋でも、ただの道でも、駅でも、窓の外を見ながら、雪でも、桜の木の中でも聴いていた。
何度も聴く音楽ってもう体の一部のよう。
宇多田 ヒカル さん
ふだんあまり感情を表に出せない自分がこんなに馬鹿になれるのは、宇多田さんのライブ映像を見る時。
頭じゃなくて、体で感じとる「好き」が一番気持ちいい。
いつか本当のライブに行ける日を夢見て。
声が小さいってよく先生に言われてきた私だけど、
この小さい「大好き」を叫べる日を夢見て。
今夜は短歌に挑戦してみたい。
月金土 ソファで狂うの ネトフリライブ
推しと言わねど 偽れぬ体
ライブ映像に水で酔える私が、ソファに上がって踊り狂うところを歌に。週三回にわたったものなら、上階の住人もソファにもごめんよ。
時代の言葉を、かっこつけちゃって使えない時がある。「推し」という言葉もそう。それでも体は「推し」を出しちゃってる。そんなことを表現できればと思った。腰が曲がっても踊ってたい。
塵でいい スポットライトの 下を舞う
あなたの歌声 聞けるなら
ステージ上で、ライブ中のアーティストにスポットライトがあたるとき。時々見える空気を舞うダスト。何万のダストの中、その光の中にあなたの姿を見にいきたい。
ライブ映像 英訳歌詞も oh written by you
近づきたいよ 君の深層に
宇多田さんのライブツアー映像には、歌詞の英語字幕が付いている。
英語も大好きな私は、終始その英訳の美しさとかっこよさに魅せられていた。そして、最後のクレディットに「English subtitles: Hikaru Utada」と文字が並んだ瞬間。その文字は宙へ浮かび、当の私は無音の中立ちすくんだ。
英訳が宇多田さん自身によるものだった…
それは喫茶店でゴッホの画集を見ていたら、突然ゴッホ本人が目の前の席に現れコーヒー片手に座って「あぁこの絵はね、こういう気持ちで描いたんだよ」って、話しはじめるような衝撃だった。宇多田さん自身により、選ばれた英語の詞。二言語での表現に向き合えるということ。
また少し歌詞に近づき、もっともっと肌に指先に感じられるような気がした。
”Can You Keep a Secret?”の歌詞から「近づきたいよ 君の理想に」に掛け合わせるかたちで、下の句とした。
ここまでもしどなたか読んでくださっていましたら、ありがとうございます。
今まさに視聴しているLive Sessions from Air Studiosでも歌われている、PINK BLOODのリンクと歌詞の一節をこちらに。