フォーチュンクッキーは語りき
当時のロンドンは見知らぬ街。何もかも目新しくカメラのシャッターを切りたくなる一方で、どこか馴染めない都会でもあった。
はじめてこの街に泊まった夜、お腹を空かせレストランを探していた。どこへ行けばいいかわからず、泊まっていたホステルの周辺をうろつき、中華レストランの前で立ち止まった。正面の窓から中をちらりと覗くと大勢で賑わっており、会話の音が外まで響いてくるようだった。
当時は渡英してまもなく職探しをする前であったため、レストランへ入ることに躊躇し自分で自分を説得する私だっ