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【感情紀行記】ご希望

 以前、旅行中にICカードへの入金が足らず、乗り越し清算を友人が強いられる場面があった。乗り越し清算の機械へと向かうと、機械は「ご希望のチャージ金額を押してください。」と音声を読み上げた。

 大変に丁寧なコメントであるし、わかりやすい音声である。しかし、乗り越し清算をしなければならないというのは、チャージをしなければゲートを通過できないわけだ。今回のパターンでは、一度ゲートを通過することを阻まれ、仕方なく精算機に向かっている。そんな中で、ご希望してチャージしたい人は多くないはずだ。確かに、「ご希望」という言葉は、「チャージ金額」というのにかかっているのはわかるが、清算しなくても良いのならしたくない人々にとって、ご希望のチャージ金額も何もあったものではない。0円を押せるものなら押したいはずだ。久々にこのような日常生活での引っ掛かりを見つけてしまった。

 そんなことを思いながらレストランに入り、ご飯をいただいた。食後に、「こちらのお皿をお下げしましょうか?」と聞かれ、咄嗟に「お下げしてください。」と言ってしまった。なんとも嫌な客というか、変な立場に立ってしまった。自分よりもよっぽど正しい日本語を丁寧に使っている券売機に起こる面子はもうない。鉄道会社への謝罪をご希望したい。

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