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大学生散文|感情紀行記

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感情の動いた時を書き記す【感情紀行記】をまとめています。
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記事一覧

【感情紀行記】見た目割引

 よく、年齢を間違えられる。それも、かなり上に。周りからは、落ち着いているからとか、品があるからなどと言われることもあるが、なんだかしっくりこない。  最大の年齢誤認は、高校三年生の時だ。高校三年生の時、書類を印刷するために、印刷屋さんに行った。その時、サインを求められたので、大学合格祝いでもらった万年筆で書いたことがあった。そうすると、店員さんが、「いいペン持ってますねー」と言ってくるものだから、「合格祝いでいただいたんです」と話していた。続けて、店員さんは、「なんの合格

【感情紀行記】白と青

 一時期、某アイルバイトに応募しまくっていた時期があったが、それ以来働くことをあまり考えていなかった。そんな中、またまた西の友人からアルバイトを勧められた。最近、とても働く意欲があったことと、そろそろ四年生の時の膨大な時間をお金に変える時のための下準備をしなければ、四年生の時に働くことができなくなってしまう、という問題の解決のために動き出した。  面接を受け、あっさりとそこそこ時給が高いアルバイトに受かることができた。そういうわけで、数年ぶりにアルバイを再開する運びとなった

【感情紀行記】前略、幸せ。

 今まで、何度か書き連ねている気がするが、やはり言葉の持つ力というのはすごい。まず、言葉が表す意味というのは、その言葉の使い手のバックグラウンドであるとか、感情であるとか、様々なものを反映している。だからこそ自分は、美しい言葉遣いと、正しい日本語を目指し、心がけてきた。  先日、付き合っている人から思いがけない嬉しい言葉の数々を受け取った。それは、決して聞こえの良い言葉の羅列ではない。心の底から発してくれているメッセージであった。お互いがお互いを想い、いろいろな思いを載せて

【感情紀行記】世直し階級社会

 最近、急速に動画市場を席巻しているショート動画というものを見ている時に、惑星が地球に衝突しようとするような動画が流れてきた。  その動画は、地球にいる人の視点で、ぐんぐんとその惑星が近づいている様子を動画に撮っている風であった。妙にリアルで、見入ってしまった。コメント欄には重力がなんとかなど、色々と理系的分析で持って批判がなされていたのだが、個人的に気になったのは、近づく惑星の手前で発射されていたロケットだ。地球の終末感を描くための脱出ロケットだと思われる。少なくとも自分

【感情紀行記】自分気褄

 感情の起伏が抑えられているというのはここ最近のトレンドであった。自分は、そもそも感情が割と豊かな人物であった上に、その感情に左右されやすいので、感情は、時に武器にしつつ、生活の足枷となってきたのだ。人の機嫌に合わせるのも難しいのかもしれないが、自分の機嫌を操舵する方が難しいのではないかと思う。そのため、感情を抑えたり、仕舞い込んだりするのがいつの間にか上手くなってしまった。そして、いつしか感情を表立って見せることが少なくなっていった。  先日、例の付き合っている人と、ひょ

【感情紀行記】ご希望

 以前、旅行中にICカードへの入金が足らず、乗り越し清算を友人が強いられる場面があった。乗り越し清算の機械へと向かうと、機械は「ご希望のチャージ金額を押してください。」と音声を読み上げた。  大変に丁寧なコメントであるし、わかりやすい音声である。しかし、乗り越し清算をしなければならないというのは、チャージをしなければゲートを通過できないわけだ。今回のパターンでは、一度ゲートを通過することを阻まれ、仕方なく精算機に向かっている。そんな中で、ご希望してチャージしたい人は多くない

【感情紀行記】自給自足

 少しずつ時が過ぎ、誕生日を迎えることを、年齢を重ねるという言葉が相応しくなってきた。そろそろ独り立ちも視野に入れなければいけないこの年齢に、危機感を覚えた。今すぐに全てを自分でできるようにならなければいけないわけではないものの、この状況で練習しなければ、惨事を引き起こしかねない。  そういうことで、まずは人間の基本、食事作りを始めた。今まで、趣味と言える料理などは作ってきた。簡単なクッキーやスコーン、いちごジャム、チャーハンなどだ。他にも、簡単な朝ごはんくらいは自分で作る

【感情紀行記】人成

 何か仕事を成し遂げてからではないと日本では休めない、休んではいけないという風潮がある。しかし、フランスなどではバカンスを取る。それを比較して、「人間が何か成し遂げるなんて無理なんだから先に死んでしまう」と言われた、という動画を見た。人間は何かを成し遂げなければならないのだろうか。何かを成し遂げるものなのだろうか。  人間の成し遂げることは文明社会の後付けだという結論に至っている自分は、何か社会の中で成し遂げたいとは思わなかった。しかし、自分の中で譲れない点を決定的に得ると

【感情紀行記】人生に慣れる

 暖かい日差しが差し込み、明るく照らされる部屋を出て、まだ寒さの残る廊下を通る。春になり、朝の寒さも少しずつ和らいできた。  冬に、新しく家具を新調するため、家具屋さんに出向き、家具を注文した。するとなんとも配送時期が遅く、待っているうちに春になってしまった。今まで愛用していた家具を全て分解し、玄関へと搬出する。数日間のうちに次々と粗大ゴミとして搬送されていく。青春とも言われるような、人生の大事な時期を共に過ごした、夢の詰まった家具たちが玄関でポツンと並ぶその姿は、侘しさと

【感情紀行記】春満月

 ここ数年間、自分は孤独である、という現状をコンプレックス、ひいては悩みの種として抱え続けてきた。実際は、家族や親戚、友人たちに恵まれていたので、完全に孤立、孤独であったわけではなかった。しかし、何か社会に対して自分は一人で向き合っているような、少なくともペアではないような感覚に襲われていた。しかし、生活と、それを支える精神がものすごく強力なスタビライザーによって支えられるようになった。自分の確実性や、自分を構成する何かが足らないという状況から、変わったのだ。これまでにないス

【感情紀行記】世直し階級社会

 最近、急速に動画市場を席巻しているショート動画というものを見ている時に、惑星が地球に衝突しようとするような動画が流れてきた。  その動画は、地球にいる人の視点で、ぐんぐんとその惑星が近づいている様子を動画に撮っている風であった。妙にリアルで、見入ってしまった。コメント欄には重力がなんとかなど、色々と理系的分析で持って批判がなされていたのだが、個人的に気になったのは、近づく惑星の手前で発射されていたロケットだ。地球の終末感を描くための脱出ロケットだと思われる。少なくとも自分

【感情紀行記】正義の名前

 冬の夕さがり、数日間で急激に寒さが増し、冬へと本格的に突入した。冬といえば、暖かなココアが美味しい。そういうことで、ココアを買いに出かけた。そうは言っても、なんだか少し健康的そうで、朝も飲みたいと思えるmiloを買っている。コンビニでは、新たに増えた、湯河原に公用車で通っていそうな某元東京都知事のような男性の店員さんが会計を済ませてくれた。そんな店員さんは、会計を済ませるとなぜか、プラスチックの白いスプーンをつけてくれた。そのまま粉を食べるとでも思ったのだろうか。そんなこと

【感情紀行記】家族と共に

 我が家には大変ポンコツな母がいる。自分を産み育ててくれた親に対してポンコツというのは何事かという問題はあるのだろうが、そういう社会の目に忖度せずに申し上げれば、ポンコツである。全てがポンコツというのではない。一部分ではとても優秀であるし、とてもデキる人である。  そんな母がなぜポンコツかといえば、忙しなく、どことなく抜けている部分があるからである。決してボケているわけではないのだけれども、少し考えればわかるような当たり前のことを聞いてきたり、物にぶつかったり、ひっくり返し

【感情紀行記】寂しさと期待と

 寂しさというものにはわりかし耐性がある方であった。もちろん、人並みには寂しいと感じることはあったものの、それは、一人でいるということを持って発生していた様に感じる。  大学も終わり、春休みへと突入した。しかし、付き合っている相手は、実習という大変に気を病むよな大変な期間へと突入している。事前に、連絡もあまり取れないし、会うこともできないだろうという話をされていたために、旅行を入れていた。しかし、いざ実習が始まってみると、お互いに会えないという事実に耐えきれず、会う予定を立