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こどもの困りごとにばかり目を向けていませんか?〜目の前の子どもを「ストレングス」視点で捉えてみる 〜

ある中学2年生の男の子。
夏休み明けから学校に行くことをやめ、家で1日を過ごしている。行かない理由を尋ねると、学校がつまらなくなったからだと教えてくれた。普段は、ゲームの実況を家で配信し、家から出ることはなく、たまにコンビニに行く程度だという。

この事例から、この子についてどんなことを思いますか?助けてあげなきゃと考える人もいれば、地域の大人として見守ろうと思う人もいるかもしれません。

私たちは普段から、様々な仮説を持って行動しています。その仮説を基に行動した時、それは子どもたちに寄り添うものになる時もあれば、逆に傷つけてしまう時もあります。(例:助けないとと考える背景には、この子は困っているだろうという仮説があったり、見守ろうと考える背景には、自分が今介入してもうまくいかないという仮説があるなど)

今回は子どもをみつめる視点として、「ストレングス」について焦点を当ててみたいと思います。

*この記事は市民性醸成プログラムCforCの内容から一部抜粋して作成しています。

Citizenship for Children(略してCforC)は、一般市民向けに行っているプログラムです。参加する皆さんが共通するのは、「子どもたちのために自分にできることをしたい」という想いと、「あのときの自分の子どもに対する行動はよかったのだろうか」という葛藤です。そうした想いと葛藤を持った人たちが集い、多様な実践者や専門家からの学びも交えながら、仲間と共に「自分なりの子どもとの関わり方」を探求していきます。(認定NPO法人PIECES


ストレングス視点で子どもをみつめる

何をみつめるか(観察)
子どもをみつめる(観察すること)時、困りごとやしんどさ、不自由さなどに目が行くときもあります。その一方で、興味関心をみつめることも大事です。前者は「子どもの困りごとは何か」というニーズの視点、後者は「子どもの持っている資源は何か」というストレングスの視点です。

ストレングス視点がなぜ大切か
ストレングス視点を持つことで、子ども自身が自分の尊厳を大切にできたり、自分の手で状況を変えていくことができます。また、関わる大人にとっても、支援や関わりの次の一手を考えることができたり、楽しんで関わっていくことができます。

事例をストレングス視点でみつめる
一番最初に出した事例も、ストレングス視点で捉え直してみます。

ある中学2年生の男の子。
夏休み明けから学校に行くことをやめ、家で1日を過ごしている。行かない理由を尋ねると、学校がつまらなくなったからだと教えてくれた。普段は、ゲームの実況を家で配信し、家から出ることはなく、たまにコンビニに行く程度だという。

・「夏休み明けから学校に行くことをやめ」たということは、行かないという選択ができている
・理由や普段の様子など、自分のことを話すことができる
・「ゲームの実況を家で配信し」ているということは、好きなことを自分で学び実践している

こんなふうに捉えることができます。

CforCではストレングスを探る視点についてのレクチャー、事例をストレングス視点で実際に捉え直してみたり、参加者同士で自分たちのストレングスを考えてみました。以下は実際に参加した方からの感想です。

参加者の感想

シュホさん(20代・大学生)
第3回のゼミで1番心に残っているのはストレングスです。あなたの強みはなんですか。それを見つけ出すためのストレングス視点。「願いはストレングスになる」、これが印象的でした。

その言葉を実感したのがストレングスのワーク。自分の短所を人に言うのは怖い部分でもあり。嫌われてしまったらどうしよう、そんな人だったと思われてしまったらどうしようと。しかしそんな心配は不要でした。仲間が自分の短所を認めて、リフレーミングで強みに変えてくれる。そして大切にしたい部分やなりたい姿・願いに繋がるヒントを与えてくれる。また仲間の短所や想いを聞きリフレーミングし言葉をかける中で、自分と重なる部分もあって。他者を通して自分にも、優しい言葉をかけているような感覚にもなりました。

自己分析を行って自分を理解することも大切だけど、自分のストレングスを発見してもらうという心地良さと喜び。このワークでわたしは自分のことが前よりもちょっと好きになりました。少し視点を変えればその人の強みが見えてくる。人との向き合い方の新しい視点を身に付けられたような気がします。

さやかさん(20代・福祉職)
私はこのCforCに参加して、回を重ねるごとに心や体の感覚が自由になるのを感じました。今まで福祉職として「心を自由にしたら頭が働かなくなる。良い支援が出来なくなる」と、必要以上に自分を戒めてきたのかも知れません。

CforCで出会った仲間を、すぐにとっても好きになって。でもそれと同時に「あの人はすごいなぁ、この人も素敵だなぁ、だけど自分は…」と思ってしまう。それでもコースの最後まで楽しんで参加できたのは、そんな心の揺らぎに共感してくれたり、見守ってくれたり、そっと元気付けてくれる仲間の存在が大きかったなぁと思います。

誰もみんな強いところ、弱いところがあって、時に傷付いて。出会った人達と、お互いの傷を癒したり癒されたり。そんな中で「自分なんか…」を越えた先でやっと気付けたのは、私たちに順番はないということでした。自分自身を愛おしく思えた時、心からみんなのことも「大切だ」と思えました。
CforCで幾度も耳にする市民性や優しい間について。まだうまく言語化できませんが、なんとなく感じ取ってきました。あなただから出来ること。私だから出来ること。それをワクワクしながら探していきたいです。


同じ事象でも、捉え方で関わり方が変わる

今回は子どもをみつめる視点として、「ストレングス」についてお伝えしました。ニーズだけでなく、子どもたち自身の持つ「ストレングス」にも目を向けることで、状況の見え方が変わり、関わり方も変化することができます。

そして、私たち自身も、こどもの願いやストレングスと自分の願いやストレングスをかけあわせて、わたしたちが心地よい間(関係性)をつくることができます。

「子どものための支援」から「私たち(子どもも私も)が心地よい関係性」へ。一市民だからこそできる関わり方を、考えるヒントになれば嬉しいです。

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Citizenship for Children(CforC)は、子どもと自分と地域にとってのwell-beingを実現するために、仲間とともに心地よく迷いながら、自分なりの市民性を探求するプログラムです。子どもに関わりたいと思う人や実際に関わっていて葛藤を感じる人などが集まり、「私らしく、自分にできること」を探究してきます。

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