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50代転職日記 #10

上司に辞意を伝え、正式な退職日が決まった後、退職することを周囲に伝えていった。
オフィスで事務の仕事を手伝ってくれたパートさんに打ち明けると驚きながら涙目になっていた。現場の店長は上司からすでに私の退職が伝えられていて、シフトも外されていた。自分で全部説明してまわる必要がなく、3週間で淡々と引き継ぎをし、最終出勤日を迎えた。
「こんなに綺麗に辞める人、初めて見ました」と言われ、自分で言うのも何だが本当にそうだと思う。
あー、解放された。前の社長が辞めてから毎日のように何か取り返しのつかないことが起こってしまったらどうしようと内心ビクビクしながら仕事をしていた私。小さなトラブルはあっても大事には至らず今日までこれた。会社はなくなってしまったけれど、これで良かったのかもしれない。
1ヶ月半の有給休暇、まだコロナの余韻もあって旅行という気分ではない。長期休暇でないとできないことって・・・。
そうだ、美容整形しよう。
まぶたのたるみと顎のたるみ。1ヶ月以上あればダウンタイムも十分とれる。
早速休みの初日に美容外科に訪れた。
本当は顔を切開して耳に向かって皮を引っ張り上げる手術をしたかったが、まぶたと同時は無理ですと言われたので、まぶたの手術だけ行うことにした。母には必要ないと怒られたが、今しかできないから強行する。これで10歳は若返るはず。新しい職場には新しい顔で臨みたい。
会社では店長会を兼ねて私の送別会を企画してくれたそうだが、1週間後に予約した手術とバッティングしてしまい、迷わずお断りをした。手術をずらすとダウンタイムと初出社が重なってしまう。幸か不幸か送別会のリスケはなかった。賞与明細のタイトルを書き換えろと言ったりタイムレコーダーから私の名前を消した人たちと今更酒席を共にしたくない。
今回、眉の下の皮膚を舟形に切って縫い縮める眉毛下皮膚切除という手術を行った。これまではシミのレーザー治療の経験はあったが、メスを入れるのは初めての経験だった。2時間くらいで手術が終わり、帰りのタクシーの運転手さんから、「あんた手術する必要なんかないよ~」と母と同じくたしなめられた。もうガーゼとテープで覆われて顔なんか見えてないのに。
施術した2日目から喧嘩で負けたみたいに両目のまぶたが赤黒く腫れ上がり、氷嚢を押し付けて鈍痛をごまかしながら3日ほどゴロゴロしていた。1週間で抜糸してまだ腫れが引かないなか、1日だけ現場を手伝いに行く。
現場の店長に「わー、もっと目がパッチリするのかと思ったら、何も変わんないですね」といわれ、まだ腫れてるからこれからですよ、また今度飲み会でお会いした時にでも見てください。」といって、これまでのお礼を言ってお別れした。


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