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子どもの声が教えてくれる【訪問:瀬戸ツクルスクール2】

春以来、瀬戸ツクルスクールに訪問しました。
前回の訪問の記事リンクを最下部に貼りました。

ツクルスクールは市民立の学校です。

市の教育理念をスクールの理念として掲げている
無料で運営されている
非一条校

市民立スクールとは


概要は前回の記事に記したので、今回は昼食、インタビューの2点についてまとめます。

昼食をツクル

注文

前回、私がうどんを注文した彼は、「社長」となっていて、今回は別の男子2名が注文を集めていました。
当初メニューはうどんだけだったのですが、米があることがわかるとすぐに
「バイト」の少年が「社長」にそれを伝えに行きます。
「社長」の指示を受け、「バイト君」がメニューを書き換えます。
晴れてメニューにご飯ものが追加されました。
でり丼、天津飯、おにぎり
社長は指示を出しただけ。

仕込み

仕込みが始まります。
11合の米を「バイト君」たちが研ぎ、炊飯器にセットします。
「それ(ボウル)で水を汲んで入れるよりも、釜に入りすぎた水をそれ(ボウル)で抜いた方がはやい。」
なるほど。
ちょっとした行動ややり取りの中に知恵や学びが散在しています。
「バイト君」は4年生と6年生の2名。
4年生の方がバイトとしての活動を数ヶ月早くはじめたらしく、6年生が後輩としての振る舞いをしているのが興味深かったです。
そう、彼らにとって年齢や学齢以上に意味を持つものがあるのでしょう。
社長は厨房には来ませんでした。

買い出し

肉以外の在庫が確認できたので徒歩数分の精肉店に向かいます。
道路は車が来ていないからと横断せず、信号を順守していました。律儀。
入店すると、店員さん「今日は何にする?」
どうやら店員さんも馴染みのようで、非常にスムーズに注文し、商品を受け取ります。
彼らにお勧めされたハムカツを揚げてもらっている間に「バイト君」たちは踵を返してスクールに戻って行きました。
社長は買い出しには行きません。

調理

1時間弱で調理も終わり、食事が始まります。
が、問題発生。
注文票を見落としていたのか、1食足りません。
慌てるでもなく、すぐさま「バイト君」が調理を始めました。
しかし、先ほど全てまとめてつくっていたのでまた最初からやらなければなりません。
そうして進めていると、ここで「社長」が登場します。
「バイト君」の近くに寄り、何やら助言をします。
そして最後の味付けになると「社長」の出番です。
調味料を調整し、整ったところで軽く頷きます。完成です。
全てを手取り足取り教えるわけではない、しかし、最も重要になる工程の責任をとる。
この「社長」の「バイト君」たちへの関わり方は、まさに上司と部下との関係そのものでした。
「バイト君」たちがOJT的に食堂の業務を身につけていったことは容易に想像できます。
一体「社長」がどこからその要諦を学び取ったのか。

どうしても気になっていた中学生の声を聞きました。

高学年、中学生に質問したら、一尾さんと同じ声が出てきて驚いた話。

  • 子どものときに子どもらしいことをした方が大人になるのが早い。

  • ここにいると人間関係で悩むことはない。困ることがあってもその都度対応する

  • 小学生から中学生になる頃に将来を考え始める。誰かに言われるとかでもなく学校種が変わること自体がきっかけになる。

  • ツクルを卒業するのは不安。昼間の動き方が変わるから。でもバイトやプラカレの授業もすごく楽しそうだからそこは期待している。

  • 検定など、自分がやろうと思ったらやり始める。学習もやろうと思ったら自分から始める。

  • 学校に卒業証書をもらいにいったら、予期せず細かな段取りのある式だった。本人がそれがいいと言っていないのに、やったほうがいいだろうという押し付けを感じた。

みんな、自分の言葉を紡ぎ、思いを具体化してくれました。
語彙の豊富さと、感受性の豊さを感じます。
最後の項目は学校職員として身につまされるところがあり、頬を叩かれた思いです。
彼らがスクールのカリキュラム(ない?)から学んでいるのか、一尾さんが刷り込んでいるのかは分かりませんが(笑)、学校の設計と子どもの実態がピタリ乖離なしだと強く印象つけられました。

そしてまちへ

高等部のプラクティカルカレッジに続いて、今秋から瀬戸専修スクールもスタートします。

https://setosenshuschool.jimdosite.com/

個人事業主を育てる課程に加えて、地域で働く大人を育てる課程。
瀬戸市の企業とタイアップした教育活動が始まります。
スクールの理念が社会の実態とシームレスになるよう、システムが設計されていきます。
詳細は3/23 の説明会でお聞きできることと思います。

以前の訪問の記事


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