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街の選曲家#ZZZ11Z

サブスクのプレイリストに入れるものは、慣れ親しんだ大好きなアルバムの大好きな曲とか、リコメンド機能によりお勧めされ気に入った曲とかが多く、至って普通のものだ。私は新しい一曲に触れた場合、先ずアルバムを通して聞くという行為になってしまうが、中にはどうしてもその曲だけ突然変異的に気に入っているというものに出くわす。多くはアルバムのコンセプトやジャンル、バンドの方向性が一致して感じるものだが、そうでないものもあって、逆にそういうものは早めにプレイリストに入れてしまう。今聞きたいというよりも、プレイリストに入れることによって興味が出るかそうではないのか判断しようとしているのかもしれない。また、私は寝かせぐせがある人間で、普段ほしいものを手に入れると寝かせてしまう。服とかでも基本的になんでもだ。自分でも分からないが、とりあえず所有の喜びでも感じているのだろうか。だがリコメンドで出会った曲のアルバムの中でその一曲だけしか好きじゃないと判断できる場合、それとは真逆で、その曲だけをすぐプレイリストに入れてしまう。


テレキャスター・ストライプ - ポルカドットスティングレイ

ポルカドットスティングレイを知ったのはリコメンドだった。何かを聞いたか検索した中のおすすめのひとつにポルカドットスティングレイの骨抜き E.P.があった。制限付きサブスクの初期ということで、そのEPをかなりヘビーローテーションして聞き、ノリのいい曲となんとなく面白い歌詞にハマった。そしてこの一番キャッチーな曲を最初にプレイリストに入れた。彼らを聞いた時に漠然とスリーピースか、フォーピースのバンドだと思っていて実際そうだったが、どんな人たちか知らず、ビジュアルも知らずに数か月経った。ある時、ヘビーローテーションもしていたこともあり、ふと思い立ちYouTubeで検索してみた。検索してみると彼らのライブが存在し、すぐにそれを聞いたが、それはレコーディング音源とはかなりかけ離れたもので、同一バンドか分からないくらいだった。軽くいうとひどい出来。でもまあ録音盤はちゃんとしているし、そういうのは気にならないしなからなかった。今回久しぶりに検索してみたが、前と同様に出てきたライブ音源では、以前見たものと全く違いスタジオ音源に沿った音だった。もしかして以前私が見たものは夢かも、もしくは演奏してみたとか、歌ってみたとかの部類だったとか。上達したとか頭は混乱した。まあ、そんなことどうでもいいんだけどね。この曲は聞いてもらえれば分かると思うが、聞きやすく演奏もカッコいい。特にギターはいいと思うし、ドラムのフレーズもいい、挑発的なボーカルもいい感じだと思う。本当にキャッチーで誰にでも聞いてみてといえる曲だ。


Jetpack Blues, Sunset Hues - Anamanaguchi

これは自分の好みとしては分かりやすいし、Anamanaguchiに出会えたのは必然で今でも感謝している。この曲やアルバムというわけではなかったが、chiptuneを物色していた時に出会った。chiptune特有の高速アルペジオ等のテクニックや音色、音源が使われているようで、しかもそこに生楽器、ギターやベースがハマっている。そしてノリのいい曲、イントロから始まれば視野も世界も広がり、キラキラとした世界に包まれる。いや、キラキラとしたなにかが降り注ぐ、そうして希望がやってくる、そんな曲だ。そして紆余曲折はなく、盛り上がり、盛り上がり、盛り上がり、そしてそのまま終わってしまうような世界。キラキラと降っていたのはしあわせだったのではないだろうか、ってガラにもなくそんなことを考えてしまうような曲だ。曲のすべてが淡々とハイテンションに続いているわけではなく、大サビにあたる部分やブレイクがあったりして、もしかして紆余曲折もあるという意味なのかもしれない。だが、私には最高にハッピーでハッピーでハッピーなサウンドで曲、そして大好きなバンドの大好きな曲だ。


失恋レッスン(A・B・C) - イモ欽トリオ

歌謡曲を検索していて、ふと聞きたくなってイモ欽トリオを検索したらストライク、そのサブスクにもイモ欽トリオのアルバム、ポテトボーイズNo.1があった。そしてこの曲は細野さんなんだけど、シングルカットされた曲だと思っていて、違ったことに驚いた私にはとても印象に残っている曲。音源を持ってなかったのに、かなりよく聞いていた記憶があるのはどうしてだろうか。当時そういうジャンルがあったか記憶はないが、今ではテクノ歌謡というジャンル、それはいい得て妙で、大ヒット曲のハイスクールララバイのイントロではYMOを意識したような振り付けや曲調だった。そして彼らの学生という設定やメインボーカルの長江健次さんの若さもあり、いや幼さという風情も漂っている姿は、爽やかなポップス曲としても相応しいものだった。この曲はというか、このアルバムのすべての歌詞は松本隆さんで、この曲の細野さんとははっぴいえんどでも、その後のヒットメーカーとしてもコンビを組んでいる。その歌詞も学生時代の一部を切り取ったスラップスティックな恋愛コミックのような趣で、青春を表しているし、松本隆さんの深い殺しのワードみたいなものもあり、ちょっとした気も効いている。同じ細野さんが作曲したハイスクールララバイにも通ずるし、この曲も大ヒットしたそれに遜色のない出来ばえだと思っている。こういう曲をずっと聞いていた、そういう歌謡曲の時代も大好きだ。


ルーリードはね - サニー久保田とオールド・ラッキー・ボーイズ

音楽サブスクに入ったとき、早速聞いていたニューウェイブバンドを探した。利用初期にはその頃のバンドはなかったのだけど、8 1/2を探したら久保田慎吾さんがサニー久保田とオールド・ラッキー・ボーイズという新しいバンドをやっていて、それがそこに存在したというラッキーに出くわした。ハッカの後は上野耕路さんとの捏造と贋作くらいしか知らなかったので、早速唯一存在していたWhat's your DREAM ?というアルバムを聞いてみた。そうしたらいきなりこの曲があった。歌詞もかわいらしくていいし、そして久保田慎吾さんの歌、ルーリードのあのジャケットの顔がよみがえってきた。そして二曲目の人形焼へと続く流れ、心奪われてしまう。それ以降もバラードやポップス、以前のようなニューウェイブではなく大人のロックのような、そんなバンドだと思った。そして早速プレイリストに人形焼を入れて散歩など自分の中を回る時間の活力にしていた。でもやっぱりその次に入れたのはこのルーリードはねだった。どっちも好きだしアルバム全体もそうだけど、この曲はアルバムの始まりのキャッチーな曲、そういう存在だと思うので今回はこの曲をのことを書いた。書いているという感じでもないけど。でもそんなものだ。この曲は最初のキャッチーな曲だけど、プレイリストの終わり、アンコールに持ってくるのもいい、とか考えてしまう。沈むような終わりも好きなんだ。そしてこのアルバムを通して何度も聞くと、ないものねだりはあるけれど、ただ新しいアルバムを聞けたことに喜びを感じていた。


今利用している解禁されている曲のおおよそすべての曲があるようなタイプのサブスクでも、最近は率先してリコメンドを聞き始めた。リコメンド機能が優秀で、今までの好きな曲も膨大だが、それを解析してくれておすすめしてくる中には、思ったよりも自分が求めているようなものがあると感じられる。今まで聞いてきた積み重ねからのリコメンドなので、自分にとっては新鮮なものもあり、中には突然出会うのが驚きのようなぴったりなものもある。日本人は好きなアーティストばかりを聞き多様性が少ないという統計結果もあるようだが、優秀なリコメンド機能を利用しない手はないと思う。




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