涙のしずく

こぼした涙のしずくは大地に落ちる前にはじけた
物理学が及ばない感情
はじけたしずくは乾いた大気に溶ける
そうしてやってきた
感情により還元された力
思いをぶつければ戸惑ってしまう
黄色のフィルターを通して見える光景
落ち着けと言い聞かせる現実
またの名を感動というのだ
それを引き当てた力は大袈裟なほど大胆で
熱病

涙を流さないから消えている
知らぬ間に溶けている気持ち
吐いた感嘆の音は
空気を震わせ減退してゆく
いくらそれを体験しても
じっとしていられない虚弱
細切れの肉体は前後する平気
この広大なフィールドで何をする
時空を超越
そのパラドックスで
体は動かない
心だけが逸る
光の筋は様々な幻想を奏で
答えは求めない

あのとき一緒に潜ったその場所は
ここだったハズさ
とても忘れられないその出来事
感情の渦
そのとき互いが感じたその事柄は
共に分からない
下から湧き上がってくる時間の中で
体も髪の毛も浮き上がったら
光に包まれる
今も過去も未来も
そしてすべてを感じられたら
胸の中心は小刻みに揺れる

多分それを私というのだろう

二人のこぼした涙のしずくは互いのこころに溶け合った
物理学の及ばない行動
欲しいと思う現実
またの名を愛というのだ