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ソラシド

あのときのことをはっきりと憶えてる
その伸ばした指は届いたかい
分からないそのソラシド
かつて彼は言った、
シがいい味を出してる
その彼はどうしただろうか
今はもう思い出せない
でもシの音が頭の中に響いてきて弾む
心に甘いものがしみ出してきたら、
また繰り返そう
ベタベタな存在を嫌がられないように
とろけるような味わいを忘れていたら
ウインクをして宙返り
その蜜を吸い体はぐにゃぐにゃだ

そう、
その伸ばした指は届いたかい
ゆっくりと戻る
今ではもう夢の中の彼に言った、
シがいい味を出していた
そうだ、そうなんだ、
その延ばした指は届いたかい
その笑顔は本当かい
その気持ちを伝えてくれよ
そこにいて甘く感じて
またというときに

記憶とともに滑ってゆく
彼の言葉と瞬間の心境
そのとき言えなかった、
シは聞こえているよ
滑り続けてまたもとの位置
今度こそ伝えようと、今度こそ伝えてもらおうと、
するけどそれは止まらない
世界の音階とともに滑り続けている
悪夢のような輪廻

今も感じているそのソラシド
蟻の歩み、進み続ける記憶
またもとに戻り甘い園
でも現実に戻されるんだ
手放してくれた、そして、
今も感じているそのソラシド




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