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時期尚早のクリスマス

 今朝の目覚めは凍えていた。ツンドラかと思った。口元まで布団に潜り込んで、身体は丸まっているのに、異常に冷える。えらい寒さだと思っていると、背中に布団が掛かっておらず、オマケにシャツが捲れて貧弱な背骨がむき出しになっていた。そりゃ寒いはずである。

 秋ってこれほど暖かいものだったっけ、と思うのを待っていましたとの如く、いきなり寒くなりやがった。十一月中旬である。気象庁に言わせると十一月はまだ秋で十二月からが冬だということらしいので、今はまだ秋なのであるが、この落差から、私はもう冬だと言いたい。まだまだ寒くはなろうと思うが、もう冬でいいじゃないか。気が早いだろうか。

 気が早いで思い出したが、この休みに、とある商業施設に意識半分で徘徊していたが、入って目の前にドデカいクリスマスツリーを模したモニュメントが聳えていた。クリスマスは一体いつなのだ? まだ一ヶ月以上も先ではないか。映画なら予告編のCMなどを打って、周知しておいて、ドカンと公開するのは解る。しかし、クリスマスなど前もってムードを作っていては、有難みもなく、雰囲気も薄まってしまって、何のこっちゃ分からんがな。クリスマスイヴになって「クリスマスだねぇ、うふふ」と言ったって、一ヶ月以上も前からもう街中が既にクリスマス一色だったのなら、ムードもへったくれもない。これほどの中途半端があるだろうか。これほどの白けがあるだろうか。なぜそんなことをするのだろうか。商業的にメリットでもあるのだろうか。お飾りに金を掛けるなら、なるべく長い間飾っておきたいという貧乏根性からくるのだろうか。わからない。正月の「もういくつ寝ると
お正月」という情緒とまるで違う。「あといくつなのだろうか」と、三十日も前から指折り数えないだろう。

 日本の文化ではなくとも、クリスチャンではなくとも、私はクリスマスムードが好きである。クリスマスツリーもピカピカした飾りの玉も、てっぺんの星もうきうきして好きである。ああ、もうクリスマスでんなぁ、というあの寒さと橙色の灯の雰囲気、いいですねぇ。クリスマスのモニュメントが有ったって、流石に今それを見て、クリスマスだなぁ、とはならない。本当の意味で。そして、そのような時期尚早の光景を街で見続けて、いざクリスマス前になって、そのモニュメントを目にしても、何の感慨もないだろうなと思うのでありんす。

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