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こてつ
2022年12月17日 23:06
既に女はそこにいた。男がいつ来たのかと聞くと、ややあってから目も上げず六時頃だと言う。それから今までざっと三時間、女は次々にリトマス試験紙を細く筒状に丸めている。傍らには完成した山と役目を終えた山があった。男は女に訊いた。「何度目だ?」「次が五回目です」「度で訊いたのだから、度で答えたまえ」「次が五度目です」「よろしい」 女は手を止め、顔に逡巡の色を湛えている。「この状況で『次が五
2022年12月1日 11:49
季節は夏が終わり、秋に差しかかった頃だったので、急な激しい夕立に降り籠められたのには妙な気がした。ちょっと用向きがあったので、億劫に思いながらも立ち上がった。玄関の軒下で蝙蝠傘の縛りを解くと、畳まれていた襞がぱらぱらとこぼれたが、その間から毛玉のようなものが落下した。靴の横で仰向けに転がっている。それは片手で覆ってしまえるほどの小動物だった。胴を覆う毛の色は灰を被った黄色をしていて、しかし四肢に