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こてつ
2022年12月17日 23:06
既に女はそこにいた。男がいつ来たのかと聞くと、ややあってから目も上げず六時頃だと言う。それから今までざっと三時間、女は次々にリトマス試験紙を細く筒状に丸めている。傍らには完成した山と役目を終えた山があった。男は女に訊いた。「何度目だ?」「次が五回目です」「度で訊いたのだから、度で答えたまえ」「次が五度目です」「よろしい」 女は手を止め、顔に逡巡の色を湛えている。「この状況で『次が五