#15 巻き戻しボタンがあったなら
夕べの道に落としたひとつ
キラリと光って消えてった
いつかの昔、歌ってもらった子守唄
ねんねんこりよ、おころりよ
茜に染まった雲を見上げて口ずさむ
タイムマシンがあったなら
もう一度あの日からやり直そう
同じ人生を歩んでもいい
もう一度あの日々に還りたい
ねんねんころりよ、おころりよ
ぼうやはよいこだねんねしな
苦しみのない、温かな羽毛布団に包まれて
明日への不安を抱くことなく
健やかに安らかに目を閉じる
時間が逆さまに進むなら
もしも願いが叶うなら
優しさだけにくるまれていたあの日の夜に、
あの日の夜に還りたい
ひとり冷たい布団に潜り
届かぬ願いを繰り返す
ねんねんころりよ、おころりよ
瞼の裏にいつかの景色が流れ行く
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?