#5 まあるい穴のふさぎ方
心のなかにぽっかりと
白くてまあるい空洞ができている
いつもそこから雨漏りするので
それを埋める術をずっとずっと探してた
適当なものを詰め込んでみては
隙間からぼたぼた溢れる雨にため息をつく
あなたが居なくなってから
ずっとずっと空いたまま
まあるく、綺麗な、白い穴
ある日
じっと穴からこぼれた雨粒を眺めていると
メリーゴーラウンドのように
くるくるとあなたとの思い出が回り始めた
それはやがてふわふわとした雲のようになって
すっぽりその穴におさまった
あなたとの思い出が詰まった穴は
綿のようにやさしくやわらかで
頬をあてるとオレンジの、
あたたかいひだまりのにおいがした
あなたとの思い出で埋められた穴は
たまにぽたぽた雨漏りはするし
わたしの胸をいまでも締め付けてくるけれど
水溜りの底から芽吹いた花は
いつもやさしくわたしを見つめてる
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