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落ちていた謎の基板

バブルの遺物か、地方経済の起爆剤か。
山深い場所にある大きめの公園の管理業務をしている私である。

ある日、園内でゴミを見つけた。
いつもは空き缶やらお菓子の小袋やらそんなゴミばかり拾っていたがこの日は違った。珍しいアイテムを見つけたような気分だった。そのゴミは意外なものだったからだ。

大きめのスマホくらいのサイズ

渓流釣りを楽しむ人々が来るほどの清らかな川の側に落ちていたのは電子機器の基板だった。

そのゴミから伸びた配線は草と絡まり、回路には泥と葉っぱが張り付いていた。

私は好奇心に任せて、その基板が何なのか調べてみようと思った。検索すればすぐに出てくるだろうと思っていたのだが...

基板にプリントされた型番と思われるものを検索したが、該当するものは無かった。同じ基板すら出て来ない。

ごく少数だけ生産されたものなのだろうか?
私の検索能力の低さで分からないだけか?

私は基板にプリントされていた電機メーカー名を頼りに、こんな意味のない質問をして迷惑になると承知でメールで問い合わせてみることにした。

数日後、電機メーカーから返信があった。

「お探ししましたが、該当製品が見当たりませんでした」

まさかの回答だった。社名がプリントされた基板でも、古いものであれば分からないということもあるのかもしれない。

この基板がどういう製品だったのか、さらに興味が湧いてきてしまった。しかしながら、これ以上どうやって調べれば良いのか。

電子機器に詳しい人なら、この基板を見ればどんな製品だったのか推察できるのかもしれない。残念ながらそんな知り合いは私にはいない。

山深い公園というロケーションに不釣り合いな基板。私には、なぜそこにあったのかストーリーを想像することしかできない。逆に真実を知ることでワクワクした気持ちを失うのかもしれない。

簡単なことならすぐ答えが見つかる今の時代、分からないことが幸せなのかもしれない。

それでも気になるので、詳しい方がいらっしゃいましたら教えてください。なんか面白そうだから調べたいという方も歓迎いたします。

おわり

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