日本企業のブランドづくりの解決策のひとつ

ダイキングループ経営理念を策定しました!

外部有識者のご意見をいただき、経営トップ、海外グループメンバー含めた社内での侃々諤々(かんかんがくがく)の約1年半にわたる議論をへて、100周年を迎えるタイミングで22年ぶりに新たなグループ経営理念を策定しました。

1.日本企業のブランドづくりにおける経営理念の役割

高度成長期において「機能的な価値を高めることで大きく成長した日本企業」は、どうしても『機能的価値』を重視しがちで『情緒的価値』であるブランドづくりが得意ではありません。実務家として企業の中でブランドに長年携わり、他社のブランド実務家の悩みを多く聞く中で、私は日本企業がうまくブランドをつくるには、経営理念(企業理念)を活用することが解決策のひとつになると考えています。

なぜなら、ブランドづくりがうまくいかない理由として「社是・経営理念・ブランド○○の混在と複雑化」に悩む企業が多いからです。日本企業にもブランドの概念が浸透し、ブランドの重要性が認識されてきましたが、そのことによって日本企業が旧来より掲げてきた「理念」と、ブランドづくりにおいて定義する「ブランド〇〇」が混在し複雑化してきています。

さらにブランド〇〇は、ブランドプロポジション・ブランドパーソナリティ・ブランドプロミス・ブランドコンセプト・ブランドステートメント・ミッション・ビジョン・バリュー等々 構造的にかなり細分化されがちです。そこに新しくブランドパーパスが流行りだすと、「大変だうちの会社にはパーパスがないからつくらないといけない!」とさらにブランド〇〇が増えていきます。

日本企業では、社是や経営理念や企業理念という概念はしっくりなじんでおり、理念はなんとなく大事なものであるという最低限の共通認識があります。

一方でもともと「ブランド○○」という概念は、あまりなじみがないことから、極論すれば「ブランド○○はいらないのでは?」と内心では思っている。くわえて「各々の役割や関係性が混沌としていますからわけがわからない→ブランド○○はつくった瞬間に神棚に上がる」ことすら見受けられます。

これではブランドづくりはうまくいくはずがありません。

ではどうしたらいいのか?

2.優れた企業の経営理念=ブランド○○。

優れた企業の経営理念にはブランド〇〇の要諦、つまり大事なポイント核となる要素が入っています。これらの経営理念にはミッション・ビジョン・バリューが含まれており、流行りのパーパスすら組み込まれていることも多いのです。

要諦とはすなわち、

私が実務家ブランド論(宣伝会議)で力説している

以下の3つの項目のいずれか。

〇存在価値

 あなたの「企業・商品らしさ」が凝縮されていて、あなたの企業や商品が「なぜか、こだわっている」こと。

〇存在意義

 生活者から「あなたの企業・商品が世の中からなくなっても、他の企業・商品があるので、私はまったく困らないのだが、どんな損があるの?」「あなたたちが存在することで私に対してどんな良いことができると、(自分勝手に)思っているの?」と仮に質問されたときの答え。

〇人格・個性

 生活者から「あなたの企業・商品を人間に例えたらどんな人ですか?」と問われたときの答え。つまりは、ブランドが持つ「人格・個性」のこと。

 経営理念とは別にブランド○○を新しく策定するのではなく、経営理念を改定しこれらの要諦をその中にしっかりと明文化することこそが、多くの日本企業におけるブランドづくりの成功につながるのではないでしょうか。歴史的に日本企業のマネジメントに組み込まれている経営理念の活用によって、組織メンバーのマインドを変え、組織の行動を変えることが、ブランドづくりには絶対に必要だからです。

そんな秘めたる思いをもって、持論を形にすべく1年半取り組んだもので珍しく長くなりました。

ここまで読んでいただいた方ありがとうございます。

ダイキン経営理念
https://www.daikin.co.jp/corporate/overview/philosophy

【裏話】

偉そうにブランドについて書いてますが。。

経営理念の策定プロジェクトメンバーに当初は私は入っていなかったので、自分から「入りたい!」とお願いしていれてもらいました。社内において自らのブランド力がどうすれば上がるのかの答えはまったく見つかっていません。。。

ブランドは本当に奥深いです。

実は22年前の経営理念作成にも携わっていました。2回も理念策定を担当するのは、珍しいと思います。実務家冥利につきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?