レタアフロムカレソ 11月12日
つらいことがあるとそれに併せてやや苦いことを思い出したりします。雨上がりの夜、公園で散歩、ラヴェルを聴く君、束ねた髪の毛。いつの間にか思い出す回数よりも思い出せる景色のほうが少なくなってしまって、何度も同じアルバムを部屋で聴いては、引き出しの奥の方から引っ張り出した記憶を嗅いでいるのが情けないです。
こういう時、あなたはどうしますか。
今朝は丁寧にコーヒーを淹れようと思い立って、そんなに高くない豆をミルで挽く音を聞いたら少し元気になりました。昼過ぎにすこしうとうとして、ピアノを弾いて、楽譜を起こして、部屋を片付けたりしながら何とも言えない寂しさを受け入れる準備をしました。
星占いの本を読んでいると何もかもがそういうふうに出来ているんだと納得してしまいます。何もかもを前向きに捉えて、とっても希望であふれているように感じてしまいます。そうしてまた、部屋の隅っこやクローゼットの中で夏物の中に混じっている薄い記憶を引っ張り出して鼻にあてては、どうにかそれを取り込んで思い出そうとして、胸いっぱいに吸い込んだりするのです。
カレソ