青春時代 第9話

合宿翌日。

朝早く目が覚めた俺は、何となくブラブラと外を歩いた。

そして体育館に入ると、ドキッとした。

体育館の2階のテラスに、彼女が居るではないか。

思い切って声をかけて見た。

「お、おはよう!!」

彼女は満面の笑顔で振り向き、手を振って来た。

これだ!

この笑顔なのだ。

この笑顔に惚れ込んでしまったのだ。

昨日の事もあったのでちょっと心配してたから、勇気を出して散歩に誘って見た。

するとアッサリOK!

何でも試してみるものだと思いながら、2人並んでゆっくりと歩いた。

目指すは、学校の奥の方にある細くて長い階段。

彼女はすっかり元気になったみたいで、あの大好きな笑顔でこっちを振り向いてくれる。

もう幸せこの上ない。

そうして階段をゆっくりと登り、てっぺんまで来ると2人並んで座った。

肩と肩が触れ合う距離で。


そして他愛もない会話をした。

「うん、今日は天気が良くなりそうだね」

「そうね」

「お、こんなに朝早くから誰かテニスコートにいるよ?」

「ホントね(笑)」

俺が話す度に彼女が笑顔で、あの最高の笑顔で振り向いてくれるのが嬉しくて嬉しくて。


「好きです」なんて言う事すら思いつかなかった。


ただただ、その笑顔を見ていたかったのだ。


その笑顔を見るためなら全てを捧げてもいい。




永遠にこの時間が続けばよかったのだろうが、朝の練習の時間が来てしまった。

「さて、練習しに戻ろっか」

「うん」

俺たちは体育館へと帰っていった。

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