ショートショート | ビール傘
今日はとても暑い1日だった。マスクをするようになってから、なるべく外で飲むことを控えていたのだが、これだけ暑いとビールの一杯くらいやはり飲みたくなるものだ。
私は仕事帰り、同僚とともに、久しぶりにビアガーデンに行くことにした。
「こうやって君と飲むのは久しぶりだね」
「そうですね。2年ぶりくらいになるかな?」
「もうそんなになりますかね」
「あっ、ビールがさぁ~」とおもむろに同僚が話し出した。
「ああ、ビール空いちゃったね。もう一杯飲もうか?」
「いや、そうじゃなくって、ビールがさぁ~」
同僚が私の後ろのほうを指差しながら言った。
私が振り返って後ろ側を見ると、かわいい女の子がひとりでビールを飲んでいた。
「これだけ暑いと、女の子ひとりでもビールを飲みたくなって、ここにやって来たんだろうね」
「まあ、それもそうなんだけど、あれ、見て」
「あっ、ほんとだ!」
女の子の着るキャミの胸元には、2つの「ビール傘」の模様がついていた。
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