短編: 闇の中に浮かび上がる④
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闇の中に浮かび上がる④
私は苛立っていた。なんなんだ、あの武内ってヤツは?
私はこのブログでは、類い稀な異彩を放っているから、無知蒙昧なヤツらが嫉妬するのは当然だ。レベルの低いブログとはいえ、それなりにレベルの高い人はいる。私の言うことが全部理解出来ているとは思わないが、8割がた理解している人くらいはきっといるだろう。
表現の自由というものは、賢者にこそ認められる権利であるべきだ。愚者に自由など与えてしまっては、自由が自由ではなくなり、ただの放縦に成り下がってしまう。
世の中は2つの人種から成り立つべきである。
1つは私のような賢者。これは極めて少数派であるが、選ばれた者たちが担う役割である。
もう1つは、賢者の言動に忠実に従うことができる者たちである。この集団は、私たち賢者にただ従っていればいいのだ。それなのに、この階級に属する者の中に、私を常に不快にするヤツらがいる。
黙って私たち賢者の意見に従っていればいいのに、あろうことか、私たち賢者に歯向かおうする。
このブログサイトも世の中の縮図である。「チクりん」こと私は、賢者オブ賢者なのに、バカなヤツは、私のほうこそ間違っているとホザく。
私がまっとうな反論をすれば、話題をそらしてヤツらのくだらない「こころ」の話にすり替えようとする。言うことに事欠くと、私のフォロワーのクセに、私に無断でブログサイトを退会してしまう。
私をただフォローしているだけでいいのに、私に黙って退会なんかしてしまうから、私のフォロワー数が1つ減ってしまうではないか!!
バカは勝手に活動を休止すればいいが、退会するのはやめろ!私のフォロワー数が1つ減ってしまうという苦痛を私に与えるとは何事だ?!バカなヤツは最後の最後までバカなヤツだ!
それにしても、運営の武内ってヤツは、おかしなことを言ってたな。私の言動が火に油を注ぐとか、下々のコメントに配慮した対応をしてくださいとか。
運営の仕事は、ゴミはゴミ箱へ運ぶことではないだろうか?
愚かな意見を野放しにする一方で、私のような賢者に意見しようとするとは何事か?運営だって、超人気インフルエンサーである私の言うことだけ聞いていればいいんだ。
バカなヤツら百人の言うことに耳を傾ける暇があるなら、賢者オブ賢者である私の意見だけ聞いていればいいんだ。まったくこのブログサイトは、運営までオツムが弱いようだな。なぜバカは、賢者の意見に素直に耳を傾けるということができないのだろう?
バカが十人辞めるのと、賢者が1人辞めてしまうことを比較考量することができないのだろうか?
しかし、それにしても、今日も私の記事への「いいね」が少ないな。仕方ない。賢者である私の、10個の別アカから本アカへ「いいね」を押しておくことにするか。どうやらバカが最近また増えているようだな。
せっかくバカでも理解しやすいようなニュースを記事の最後に貼って、世の中の推移を学習させてやってるのに。ここまで気の利いた記事を書いているのは私しかいないのに。
そうだ!今日もバカなヤツはブロックしておくか?
バカなヤツでも、私のフォロワーをブロックすると私のフォロワーが1人減ってしまうから、私をフォローせずにコメントを書き込む連中をブロックしておこう。
それじゃブロックするぜ。
「チキり~~~ん、ブローーーック」。
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ははは、バカなヤツだ。お前、私をフォローしたくても、もうフォロー出来ないよ~~だwww
このように今日もまた、私のブログ執筆の1日は幕を閉じるのであった。
…つづく
第5話はこちら(↓)
この小説は、ももまろさんとの共作になります
連載物ですが
単独の短編小説として読むこともできます
フィクションです
第1話
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