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詩 | 誰のせいでもない雨

「誰のせいでもない雨が~」
頭の中に流れたフレーズ
予報では今朝は雨のはず
だけど降っていない

降る気配がまったくない
布団を干して
外へ出掛けた

日傘をさしている人がいる
誰も雨傘をさしていない
風が吹いている
みな何事もないように
歩いている

公園のベンチに腰をおろす
陸上大会のアナウンスが
遠くから聞こえてくる

わたし一人残して
流す涙はない

とつぜん暴風が吹き始めた
誰のせいでもない雨が
心の中に滴り始めた

まだ大丈夫だと思っていたが
あっという間に
土砂降りになった

視界が悪くなってきた
人々の足音も声も
遠のいていった

誰もいなくなった
わたしひとり動けず
ずっとしゃがみこんでいる
大きなあずまやの下で
一人びしょ濡れになった


記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします