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対話体小説集

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地の文を使わず、全編会話文だけで構成された物語のことを、対話体小説といいます。 代表的な作品として、マヌエル・プイグの『蜘蛛女のキス』や恩田陸の『Q&A』、小林泰三の『アリス殺し…
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#青ブラ文学部

警部、お願いします!

【scene1】

「警部、お願いします!」
「これは、なかなか厄介なヤマだな」
「ということは、何か分かったのですか?」
「あぁ、幾つか興味深いことがな」
「……と言いますと?」
「先ず、これは明らかに単独犯、又は複数名による計画的、若しくは衝動的な犯行だ」
「なるほど。と言うことは……」
「そうだ。犯人は、おそらく内部関係者、或いは外部の人間だろう」
「だとすると、仰るとおり、厄介なヤマになり

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適した仕事と演じることと

フォロワーさまの投稿で知りました。
山根あきらさま、こちらの企画に参加させていただきます。
よろしくお願いいたします。
#青ブラ文学部 #眠り薬 #答え合わせ

【適した仕事と演じることと】

(本文約5,500文字)

「どうぞ、入って」
「これは……想像以上だな。景色もすごいじゃないか」
「私以外では、あなたが初めてよ」
「それが本当なら、光栄だね」
「仕事以外じゃ、嘘つかないわ」

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