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資格は誰のためにある? ❀11/13号❀

①民間資格であっても

民間資格であっても、資格の存在意義は大きいです。

資格を発行している各団体や法人があり、それぞれに倫理規定などのルールを定めるはずです。それは各資格の有資格者に対してのみ強い権力を持ちます。

①-2カウンセラーの傷害行為

 民間の団体や法人の定める倫理規定は、それぞれの中の世界にのみ効力をもちます。

クライアントであっても、何らかの契約を交わせば、その世界のルールが適用されるでしょう。その契約は「クライアントを守るため」だけではなく「カウンセラーを守るため」でもあるはずです。

民間資格のカウンセラーによるハラスメントが起きても、日本の法律にできることは何もありません。カウンセラーの暴力行為を日本の法律が裁くとき、 「暴力行為だから」であって、「カウンセラーだから」ではありません。

②ほぼ国家資格でも

臨床心理士は、まるで国家資格のように、厚く信頼されてきました。
国からも信頼されてきました。
民間資格でありながら ほぼ国家資格でした。なぜでしょう…?

先達と今を生きる臨床心理士のひとりひとりの努力と、臨床心理士資格認定協会等の団体。個人と集団の全ての実績を評価された結果として、“ほぼ国家資格”として役割を与えられたんだと思います。それに合わせて社会や法制度も変化してきました。なにより、国家資格がありませんでした。

③国家資格であっても

公認心理師は、国家資格でありながら 生まれたばかりでとても弱く、多くの助けがなければ生きていけません。そして、この国家資格はとても難産でしたから、心理職の皆さんは疲れきっています。心理職の人たちだけで育てていけません。

心理職ではない皆さん。どうかサービス提供者と共に、一緒に、この幼子(おさなご)を育ててください。

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学友「精神保健福祉士になる」と言いながら笑い転げた就職氷河期の春

…ここから余談、思い出ストーリーです。

大学等の高等教育機関が、精神保健福祉士の養成教育を国家資格のカリキュラム上で提供し始めたのは20年くらい前、私が大学2年生の頃でした。私の同級生たちは「特別に」3年生から養成コースへ入ることができました。

当時の東海女子大学(現 東海学院大学)は、文学部のみの単科大学(カレッジ)。文学部-英米文化学科、-美学美術史学科、-人間関係学科。入試は学科ごとで、私は人間関係学科に入学。

1年生の終わる頃に専攻希望を提出し、2年生に進級するときに分かれ、専攻の先にさらに小枝(コース)にわかれていた。

社会学専攻の小枝にならばソーシャルワーカーに特化したゼミもあった。社会福祉士の受験対策に熱心に取り組んでいる教員もいた。

心理学専攻学生でも社会福祉士を取得することは可能だったけど、大変過ぎるから普通は社会学専攻に行った。教員免許も、高校の教員免許を取る心理学専攻の人はいたけど、小学校や中学校の教員免許を希望する人は教育学専攻に行った。

そんな大学の3年生の心理学専攻の春。

「国家資格だから」というより、就活氷河期という背景が強くあっただろうか。精神保健福祉士の取得を決めた心理学専攻の友人は何人もいた。

友人KN嬢もそんな一人だった。

KN嬢とは、入学直後から何かと一緒に行動していた。女子大といっても、「頑張って仲良しになった」わけではなく、そういうことを頑張らない者同士数人で「何かと便利だからつるんでいただけ」…だと思う。

KN嬢は対人支援に興味はなく、就職先にも福祉とかそういう類を一切考えていなかった。「興味が無い」という、かわいげの残る次元の話ではない。「あいつが対人支援?絶対ありえんわ」「ないわ…」「ないやろ」くらいに思われていた。

彼女が「精神保健福祉士を取得する」と私たちに公表した瞬間、友人一同は満場一致で驚愕しあった。そもそもKN嬢本人、誰よりも一番ビックリしていた。本人が現実を受け入れきれずに、…とうとう壊れたパソコンみたいな声をあげて笑い転げていた(笑)

「作り笑いがホンモノのスマイルになってきたね」と、友人たちとカラカイながら遠くから見守ったものだった。「だって!利用者さんにこわがられるから!」と言い返すときのKN嬢は、いつも3年生の春と変わらぬ、壊れたパソコンみたいに笑っていた。

実験心理学の卒論ゼミに所属し、心理学専攻の学修も満たしつつ、精神保健福祉士に合格し卒業。精神保健福祉士として地元の病院へ就職した。今も現役の精神保健福祉士である。就職氷河期にくわえ、臨床心理士の資格取得まで一時的に超絶な氷河期になっていた。大学の友人の中で、トップクラスに安定した二十代を過ごしただろう。

今も壊れたパソコンみたいに笑っているのかは知らないが、続けているのは知っている。

「おまえが対人支援、ないわ…」友人一同の全員に満場一致で思われ、本人が誰よりもそう思っていたKN嬢。大学3年生の福祉デビューは、人生最大のバンジージャンプになったことだろう。

人生はわからない。

私は「KN嬢が公認心理師に興味もったらおもしろいのに」とひそかに思っているのであるが、自発的に興味を持つことはないだろう。言いだすとしたら、壊れたパソコンみたいに笑い転げながら言うのだろう。

by 森野 11/13号 投稿:2020/11/11 04:44

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【参考資料】
精神保健福祉士

>公益社団法人 日本精神保健福祉士協会
http://www.japsw.or.jp/index.htm

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画像1

-画像① 昔の本棚の一部

今はこの半分程度。 26歳頃はこの100倍くらいあったかも。-

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