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元上司の呪い

今朝、妻が「たまには新聞読めば」と私の前に新聞をバサっと無造作に置いた。そこにはサックスを頑張ってる中学生が、老舗のジャズバーで大人たちの前でライブをした、というローカルニュースが載っていた。

その老舗のジャズバーというのは、かつて妻と不倫していた私の元上司が毎日のように通い、私と妻も、おそらく妻だけでも、連れて行かれていた店だった。


妻と私の元上司は、私と妻が結婚した直後から不倫し、妻のノートには「〇〇さんは私がこんなに悩んでいるのに会っても話を聞いてくれず、会えばすぐキスをして抱きしめてくる」と元上司が妻の悩み相談になるていでろくな話も聞かずに体を求めてきていた様子がありありと書かれていた。

新卒採用で入社2年目程度のヒヨコだった私は間抜けな事に、その事実を知ってからも転職する勇気が出ず、鬱になるまでの5年間毎日その元上司と顔を合わせて働いていた。


妻はその記事に気づいていない様子だった。

私の脳裏には、元上司が、妻と私を連れてそのジャズバーの狭いカウンターで、私に対し、「お前は幸せにはなれないよ。だって幸せに対して幻想抱きすぎだもん。」とニヤニヤしながら説教している様子が、ありありと蘇った。

おっしゃる通り、幸せになれてません。かわいい子供達にも恵まれ、犬も飼い、持ち家の戸建てに住み、趣味も充実している。でも、あなたがかけた呪いは今まさに僕を苦しめていて、幸せにはなれていません。

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