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時間と音楽~ミッチ・アルボム「時の番人」を読んで

ミッチ・アルボム「時の番人」を読みました。
時間の意味を問う物語。

この作品の主題は、
「人間のみが、時間を計る。
その結果生まれた、苦悩」

他の獣たちのように、日が昇ってから日が暮れるまで
単に「在る」状態。
人間たちは、時間を測定することを始めたことにより
私たちは、この瞬間にシンプルに「在る」
能力を失ってしまった。

生きる意味を問う、壮大な物語と言えますが、

私にとっては、音楽について
いろいろと考えさせられる作品でした。

音楽的描写

なぜなら、音楽も 
「時間を計る」ことによって生み出されます。

そして、作品の中の音楽的描写が心に残りました。

例えば、
「時間は、動きだ」
そして、物語中の砂時計の魔法のような力は、音楽にも例えられます。

一流のミュージシャンは、時間の空間を曲げたり、
ある瞬間を長くしたり、つまんだりすることができます。

また、音楽を聴きながら、
時間の感覚自体も、変わってしまったり。

バッハの、平均律の第1巻か2巻か、忘れちゃったけど
バレンボイムが、一冊分全曲、リサイタルで弾いたそうです。
「一夜で、一生分の時間が、経った気がした」
とコメントしているのを読みました。

音楽には、確かに、時間自体を超えて行ってしまうような
そんな力があります。

ドビュッシーの前奏曲第2巻から「カノープ」
3分の小曲でありながら、
何千年もの古代から、ここに存在する音、
時間が、聞こえてきます。

時間を計ることが、ストレスの原因??

確かに、その通り。
サスペンスドラマで、息詰まるような緊張感を与えるのは、
常に背景に聞こえる、時を刻む音。
時間がなくなる感覚、
「何時間、何分以内に何かが起こる」

人を脅迫する時
「何時間以内に〇〇をしないと」
というのが、普通つきます。
いつでも良いなら、脅しになりません。

ベートーヴェンのソナタでも、いっしょです!
例えば、有名な「熱情」ソナタ。
最初からなり続ける、時限爆弾の音が、
再現部のはじめの、低音の連打音で
初めて露わにになる時、 
私たちは、恐怖で、震え上がります!
運命から逃れることは、できない…

この、刻々と時間を刻む鼓動の音は、曲の冒頭から、
頭の中で、聞こえていなければなりません。

休符があるたびにに、時間を正確に計らずに  
適当にお休みしてから、
また始めるような演奏だと、
この曲の「緊張感」は、ほぼ失われてしまうでしょう。

音の鳴るタイミング、「時間を計ること」が、
曲に、緊張感や意味を与えます。

まとめ

なんだか、本の感想から、どんどんズレていってしまいました。(笑)

「時間を計る」ことは、人間独特のもの、
私たちの、苦しみ、そして喜びの原因。
(喜び、なぜなら私たちには音楽がある!)
私たちの人生を、面白く、意味を与えてくれるもの…

ミッチ・アルボムの「時の番人」は、
現代人が、時間に追われることによって、
効率的であろうとすればするほど、失うものについても
考えさせられます。

このテーマについては、
私の以前のブログ「無駄をエンジョイするのは大切」
でも(本を読む前に)書きましたので
よかったら、読んでください!

#読書感想 #クラシック音楽 #ピアノ音楽 #時間




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