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みんなと違う耳でもいいんです。~聾者の音大挑戦から就活まで~

第1話 夢物語を現実にしたエリーゼ


こんにちは。Deaf.エリーゼです。


耳が聞こえない人たちは、ろう学校(中学部・高等部)か普通の学校(中学校・高校)に通っています。
でも、
ろう者の中学生、高校生は、きっと進路の悩みが尽きないと思います。
私もその一人でした。
ただ、意外な進路もあったんです。
それは私エリーゼが気になる人から学びました。
どんな大学に行ってたのか?
どんな勉強したのか?など気になりませんか?

私は大学卒業後、無事に社会人になりました。
しかし、大学受験と大学生活の話は誰かに話したことがありません。
今まではその話を封印してきました。

さて、そんな私も大学を卒業してもう4年になりますので、
そろそろ封印している話を初めて話したいと思います。

私はろう学校に通っていましたが、
卒業が近づくと同時に進路に対して心配があり、かなり悩んでいました。

その結果、私が選択した道は意外的で異例的な進路でした。


ある日、夕日を見ている黙々と凛とした何か過去を封印している私に
耳が聞こえない2人が悩み相談に来ました。

サクラ、レイ:
エリーゼさん!私たち、大学に行こうかと悩んでいます。

エリーゼ:
そうなんだ。いいんじゃない。やりたいことがあるなら行ってもいいよ。どんな勉強したいの?

サクラ:
私は絵を描くことが好きなので、美術大学に行きたいなあ。卒業したらイラストレーターになりたいです。

レイ:
僕は子どもが好きで教えることも好きだから、ろう学校の先生になりたいと思ってます。

エリーゼ:
すてきな夢だね。家族や先生と進路相談したの?
もし反対があったら、まず家族の声を聞いてみないと。
反対の理由があるんだったら、あなたたちも努力しなければならないね。
認めてもらえるまで頑張らないと。

サクラ:
そうですね。聞いてみます。あの、エリーゼさんはどこの大学を卒業したのですか?

レイ:
僕も知りたいです。どんな勉強をしたのですか?

2人から聞かれた瞬間、だんまりして重い口調で話し出すエリーゼ。

エリーゼ:
まあ、この話を正直、他人に話したくないですけど。
今は卒業した大学で学んだことと関係なく、事務的な仕事をしているよ。
私は一般の大学ではなく、どうしても行きたい大学を志望したよ。
でも、家族は本当に心配していたの。

サクラ:
えー!すっごく気になります!

エリーゼ:
そうね。話が長くなるけど、いい?

レイ:
お願いします!

エリーゼ:
じゃあ、一緒にタイムスリップLet's GO!


今が2020年なので、数十年前を振り返る・・・。

私の母は、意外な私の進路に少々反対していたが、反対というより心配のほうが大きかった。
一時期は、一般の大学(福祉系、教育系)を勧められた。
私は絵を描くことが好きだったのもあり、美術大学も勧められた。
でも、あまり興味を持つことがなかった。私には唯一”音楽”しかなかった。
母は「もし志望の大学を卒業したら、どうするの?」と心配そうに聞いてきた。


私はあまり勉強しなかった。一番苦手なのは理科。
それに、人の前で話すことがずっと苦手。
それでも、私はなぜか安定できる一般の大学を志望しなかった。
芸術(音楽、美術)以外の教科に興味なかったから。
小さい時から好きなことがあり、それは音楽だった。
そのことを学びたくて、“志望の大学”に行きたいと思った。


卒業したろう学校名、大学名を初めて公開します。

絶対口外しないでください。



ピアノは5歳から始める。

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