見出し画像

音楽クリエイターが狙って案件受注するコツ(鶴羽敏行さんインタビュー)

こんにちは!

皆さん音楽制作の調子はいかがですか?

先日、音楽プロデューサーの鶴羽敏行さんにZoomでいろいろお話を伺いました!

テーマは、音楽クリエイターが狙って案件受注するコツです。


鶴羽敏行さんプロフィール

鶴羽敏行(TsuruSwing)
2000年ごろからサウンドクリエーターとしてカラオケ、着メロ、パチンコ、プリクラ、ゲーム音楽など様々な音楽制作業務を経験しフリーランスとして現在まで至る。最近では映画音楽や大手企業のCM音楽なども手がける。またTsuruSwing名義としてHouseMusicを軸としたDJや制作活動をしており、avex「House Nation」のアルバムにも参加。2018年には自身の楽曲『FEVER』を海外リリースしワールド・ダンス・チャートの DeepHouseカテゴリーで21位を記録し世界へ活躍の舞台を広げていった。最近では日本が世界に誇るシンガーAK やハウスプロデューサーユニット STUDIO APARTMENTとのコラボレーション曲も発表している。

オンラインで営業するよりも、これまでのつきあいを大事にする

Naomichi Mishima:新規のお客さんよりも、リピーターのお客さんが多いですか?

鶴羽敏行さん:そうですね。いまお世話になっている方は皆さん付き合いが長いです。10年とか。

依頼者さんから直接受けるというよりは、制作会社さんから楽曲制作を定期的に発注いただいたり、映像関係の仕事をしている方との繋がりもあるので、そこから映像に合う音楽をお願いされることも多いですね。

また、ネットで公開できない仕事も多いです。例えばゲーム、遊戯系の場合、機密保持契約の締結などがあるため、SNS等に投稿ができない場合があります。

Naomichi Mishima:なるほど。例えば仕事が一区切りして、次の案件がくるまでに、特別に何かしていることはありますか?

鶴羽敏行さん:今はありがたいことにクライアントさんが多くいるので、最近に関して言えば特別に何かをしているというわけではありません。

ただ自分がフリーランスを始めたときは、仕事があるときはあるけど収入がゼロになるときもあり、そのときは、自分の作品作りをするなど、とにかく動くことを意識していました。

"依頼されてくるもの"と"自分の活動"のバランスをとる

鶴羽敏行さん:実は、クリエイターとしていろんな方からお仕事をいただくのは好きなのですが、そこだけだと少しストレスがたまります。

Naomichi Mishima:わかります!

鶴羽敏行さん:音楽って幅広いですよね。自分の作りたいものが必ず依頼としてくるわけではないので、依頼としての音楽と、自分がやりたい音楽を作ること(私の場合はハウスミュージック)を平行してやっています。

待っていて何かがくることはないので、常に自分から動いて、それに関連して仕事が入ってくるころも多いですね。

特にフリーランスは、人と会ったり、SNSで発信したり、何でもいいので興味を持ったことに対して動くのが大事かなと思います。

直接会うのが大事

Naomichi Mishima:実際に人と会うときは鶴羽さんから誘うことが多いですか?

鶴羽敏行さん:そうですね。人間関係も含め、直接お話をするのが僕はすごく大事だと思っていて。

例えばクライアントさんが音楽の発注に慣れていない場合は、相手がどんなことを考えているかだったり、スケジュール感、依頼の楽曲のイメージなど、メールだけだと引き出せないことを直接こちらからどんどん聞くようにしています。

最近は依頼から納品までメールで済んでしまう場合もありますが、初めて依頼してくださる方などは、メールや電話よりも実際に会う方が仕事の流れがスムーズになり信頼関係が生まれると思います。

もちろん今ならZoomでもいいかもしれません。

1つの依頼に対して3パターン提案する

Naomichi Mishima:クリエイターとして意識されていることはありますか?

鶴羽敏行さん:お金とスケジュールの話は最初の打ち合わせ段階でするようにしています。

また、ひとつの依頼でも3パターンほど曲を提案できるようにしています。

例えば先にラフで15秒~1分ぐらいのバージョンを作るときや、クライアントさんがいろいろ聞いてみたいケースでは、数パターン作って選んでもらうようにすると、今後も依頼がくる可能性が高まるように思います。

逆に、1パターンしか提出しなかったのにそれをクライアントさんが全然好きじゃなかった場合、他のクリエイターさんに発注し直すことも全然あると思いますよ。

基本的には、プロとしての最低限のクオリティーができた段階で一度聞いてもらい、クライアントさんの指示に従って完成へ進めます。

自分のアーティスト的なこだわりを入れても、クライアントさんがそれを求めていない場合もあるので、一旦そこは捨てているところはあります。

アーティスト性は自分のソロ活動で発揮するというか。 

Naomichi Mishima:なるほど。そのバランス感覚はいいですね。

アーティスト活動で意識していること

Naomichi Mishima:鶴羽さんはTsuruSwingとしても活躍されていますが、そのアーティスト活動で意識していることはありますか?

鶴羽敏行さん:リリースの仕方は大事かもしれません。僕は日本のディストリビューターではなく、海外のDistroKid経由で配信しています。

金額が安いというのもありますが、逆輸入的に、海外で有名になって日本に戻ってくる、というやり方がもっとあってもいいかなと思っています。

実際、いまは日本よりもドイツやイギリスのリスナーが多いですね。

あとは、ジャンルも大事ですね。ハウスミュージックはディープハウスやトロピカルハウスなど細分化が進んでいて、日本ではテックハウスを制作する方が非常に多い印象です。

でも僕は、チルハウス~オーガニックハウス~メロディックハウスをメインで作っています。昔は日本で誰も作っている人がいなかったというのが大きな理由のひとつですが、いま自分のやりたいことに合っていますね。

音楽クリエイターを目指す人に向けて

Naomichi Mishima:プロの音楽クリエイターになるために、大事なことは何でしょうか?

鶴羽敏行さん:やっぱり人のつながりだと思います。

Naomichi Mishima:確かに。

鶴羽敏行さん:ネットでもいいですが、人のつながりが大事じゃないでしょうか。

幸い僕は親が音楽をやっていて、環境的にもありがたかったのですが、どんなに上手いプレーヤーでも音楽をやらせてもらえる環境じゃなかったり、結婚や出産などで環境が変わってしまうと辞めてしまう人も多いです。

細々とでもいいから、続けるのが大事だと思います。

人とのご縁も大事ですね。

技術的な部分

・依頼は自分の得意なジャンルではないものも来るため、普段からいろんなジャンルの音楽を聴いて、色々なジャンルが作れるようにする。

・上記の何でも作れるというのを踏まえつつも一番得意なジャンルは自分の売りとして押さえておく。

・拘束時間でどれぐらいのものが作れるか把握する。制作時間を決めてから制作するというやり方も。

・制作方法は、プラグインなどを常にチェックして効率化とクオリティが上がるよう模索する。良いと思ったものはどんどん投資しています。

・DAWのテンプレート化、よく使う音色などはユーザーのプリセットとして保存しておく。

・サブスク(Splice、Loopcloud)などのサンプルを使用し、自分にはないフレーズやリズムなどを取りいれてみる。

・業務が忙しくなるとアウトプットばかりになりがちだが、必ずインプットの時間を作る。自分の場合、家では制作のみで外出時に音楽を聴くことが多い。

・制作環境は常にテンションが上がるように配置を変える。

・MacのOSはしばらく様子を見てからアップデートする。

終わりに

いかがだったでしょうか?

同じフリーランスということで、僕と近い部分もあり、でも違うところもあり、とても面白いインタビューでした。

鶴羽さん、とても気さくな方で、僕からの質問に丁寧に答えてくださったのが印象的です。

ありがとうございました!

三嶋 直道 (PIANO FLAVA)

⚡note開始は2018年11月19日
⚡累計390,000ビュー(2022年12月時点)
⚡フォロー数2353人

2019年2月に音楽クリエイターとして起業。Saint Vegaとのコラボ曲「ネオンの泪」はストリーミングで100万再生を突破。

現在は、本業のサウンドエンジニアとして様々なアーティストのエンジニアリングをしつつ、noteでは「フリーランス×音楽」や「音楽制作(DTM)」についてわかりやすく解説しています。

ソニー・ミュージック「Soundmain」でも記事執筆中。

Instagram : @piano_flava
Website : https://solo.to/piano_flava

※ミックス・マスタリングなど、ご依頼お待ちしております!

Toshiyuki Tsuruha / TsuruSwing(@TsuruSwing)さん / Twitter
https://twitter.com/TsuruSwing

インタビュアー(聞き手):Naomichi Mishima
Instagram : @piano_flava

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?